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西新宿 彩旬亭

2020.03.03ブログ

法悦 2020年3月

法 悦 3月号 834号

胸の泉に         塔 和子

かかわらなければ

この愛しさを知るすべはなかった

この親しさは湧かなかった(略)

人はかかわることから

さまざまな思いを知る(略)

ああ 何億の人がいようとも

かかわらなければ

路傍の人

私の胸の泉に

枯葉いちまいも

落としてはくれない

青色青光
前記の詩は十四歳でハンセン病
(らい病)を発病、十年後には完治していたにもかかわらず、国の政策によってその後も隔離され続け、満八十三歳で療養所内において亡くなられた、元ハンセン病患者で、詩の世界の最高峰「高見順賞」を受賞された、塔和子(本名、井土ヤツ子)さんの詩です。
ハンセン病はすでに完治可能な病であるにもかかわらず、その後遺症が身体の欠損などの形で表層的に残ってしまう事が多いということや、神道のケガレの思想、また仏教の「業の思想(為した行為のその結果は、自ら引き受けていかなければならない)」という、思想を誤って、ただあきらめを促す「運命論」として受け止めた事などにより「業病」「忌まわしい血筋の病」と、たたりのように恐れられてきました。
それは、現在も完全には払拭されていません。
結果、家族は勿論、親戚縁者まで、身内の発症は秘され、患者の存在すらもひた隠しにしてきました。
歴史は繰り返しませんが韻を踏みます。そうさせない為にも、本名を捨て、故郷さえも捨てさせられた元患者の方々の人間回復が果たされなければ、無関心に過ごしてきた私たちの人間回復の道も閉ざされてしまうのです。

住職日々随想

中国の武漢で発生した新型のコロナ
ウイルスが世界中に拡散しつつあります。
我が国でも二月下旬の時点で、感染経路不明な死亡例を含む患者が発生し、もはや水際対策の有効な時期は過ぎ、蔓延期に入ってしまったと、連日報じられています。
対応するワクチンも無く、そのメカニズムも明確になっていない未知の病に対する恐れは、私たちの日常にも暗い影を落とし、経済的損失も含め、様々な活動の阻害要因になってしまっています。
何とか蔓延を食い止め、万一感染しても治癒できるよう、一日も早い治療法の確立が待たれます。
そんな中、今回の事で改めて思い起こされますのは、病と患者に対する偏見差別の歴史です。
近くはHIVや梅毒、さらには水俣病やイタイイタイ病、極めつけは人類の歴史とともにあり続けたハンセン病(らい病)などが、まさに偏見差別の対象になってきました。
わけてもハンセン病は、病気そのものの苦しみもさることながら、患者本人やその家族親族も含めて、厳しい偏見差別にさらされるという、二重三重の悲劇をもたらしました。
明治政府は、西洋諸国から、らい病に犯された人々を治療救済もせず、放置していると非難されたことを国辱とし、国内五カ所に療養所を開設してその収容に当たりましたが、逃亡する者が後を絶たないことや、富国強兵の国家方針に合わないとして、昭和四年「らい予防法」を制定、さらには戦時下の「祖国浄化」を掲げる「無らい県運動」の流れを受けて、らい病患者の強制収容を推進しました。
戦後、特効薬のプロミンなどによって、らい病は完治する病となり、療養所内のらい病は撲滅されました。
しかし、長い歴史の中ですり込まれた偏見差別は根強く、戦後、昭和二十八年になって改正された「らい予防法」でも、隔離政策は維持され続け、平成八年になってようやく廃止、平成十三年には「らい予防法違憲国家賠償訴訟」に於いて被害者が全面勝訴しました。
そして、昨年には元患者家族を救済するための、国家賠償も行われることになりました。
真実の浄土とは、本当のものを知りうる智慧によって、本当のものが見えてくる世界のこと。「不都合なものを排除して浄化された世界」は、真実の浄土などではありません。
私たちが真に願うべきは「真実の浄土」です。

三月の行事
5 日(木)午前10時半~ピラティス

10日(火)午後2時~門徒女性聞法の集い

13日(金)午後2時~仏教コーラスの会

17日(火)午後3時~囲碁教室

19日(木)午前10時半~ピラティス

21日(土)午後2時・6時
春季彼岸会永代経法要
ご講師 伊勢 道浄寺 酒井正夫氏
26日(木)午後2時~仏教民謡踊りの会

四月の行事
9 日(木)午前10時半~ピラティス

10日(金)午後2時~仏教コーラスの会

12日(日)午後1時~おみがき清掃ご奉仕

14日(火)午後3時~囲碁教室

19日(日)午後1時~
本堂大屋根ご修復奉告法要
祝賀の集い
23日(木)午後2時~仏教民謡踊りの会

30日(木)午前10時半~ピラティス
真宗大谷派 鶴栖山 安泉寺

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