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西新宿 彩旬亭

2018.08.27アーカイブ

2017年11月住職日々随想

生ましめんかな            
栗原 貞子

こわれたビルディングの地下室の夜だった。
原子爆弾の負傷者たちは
ローソク一本ない地下室を
うずめて、いっぱいだった。
生ぐさい血のにおい、死臭。
汗くさい人いきれ、うめきごえ

その中から不思議な声が聞こえて来た。
「赤ん坊がうまれる」と言うのだ。
この地獄の底のような地下室で
今、若い女が産気づいているのだ。

マッチ一本ないくらがりで
どうしたらいいのだろう
人々は自分の痛みを忘れて気づかった。
と、「私が産婆です。私が生ませましょう」
と言ったのは
さっきまでうめいていた重傷者だ。

かくてくらがりの地獄の底で
新しい生命は生まれた。
かくてあかつきを待たず
産婆は血まみれのまま死んだ。

生ましめんかな

生ましめんかな

己が命捨つとも

住職日々随想

KAROSHIと表記すれば、諸外国でも通じるほど、国際的に認知されるようになってしまった過労死や、過労に起因する自殺。現代日本社会の抱える大きな問題です。
キリスト教文化圏では、アダムとイブが神の楽園を追放されるとき、女性には出産という罰を与え、男性には労働という罰を与えたと言われています。
一方、仏教にその心を育まれてきた日本では、出産も労働も与えられた罰とはとらえず、むしろそこに自己実現の喜びを見出してきたのです。
しかし、グローバル資本主義の極度に進んだ今日、すべては市場経済の中で値踏みされ、以前なら評価されたコツコツと働く事すら、より安価に出来るなら、そちらに乗り換え、ばっさりと切り捨てられる、ということが珍しくもなくなってしまいました。
そのような厳しい環境の中で生き残るため、市場価値としての自分の「売り」は何なのか?と、そのままの自分を認められたいという欲求を切り捨てて、市場価値のありそうな自身の一部分を、がむしゃらに肥大化させ、切り売りしていく。その先に、ある限界値を超えると、自己破壊してしまい、最悪の場合、過労死や過労自殺を招いてしまう。そういう構図になってしまっているのではないでしょうか?
本来どのような人も、人はそこに居ることを認められてこそ、つらいことや苦しいことも、喜びの糧にしていく力が与えられてきたはずです。
そもそも、共同体が共同体として存在するということは、何かの目的に合致するものだけが、その存在を許されるのではなく、都合の善し悪しを超えて、共のあるということが、共同体の実際なのではないでしょうか。
われわれにとっての本来の国、真実の共同体といわれる「浄土」を願い求め、明らかにしていく歩みが、一人一人の現場で、今こそ始まらなければならないのです。 
十一月の行事

6 日(日)午後1時~ おみがき清掃ご奉仕

報 恩 講
12日(土)午後2時~ 大逮夜       
      夕方6時~ 御伝鈔(宗祖御一代記)拝読
13日(日)午後2時~ 結願日中      
      ご法話 泉大津 南溟寺 戸次公正師
       (お抹茶・お斎のご接待有ります。)

17日(木)午後2時~ 仏教民謡踊りの会

28日(月)午後2時~ 仏教コーラスの会

十二月の行事

3 日(土)午後4時~ 祥月講・同朋の会聞法会
ご法話 武庫川 念仏寺 土井紀明師

12日(月)午後2時~ 仏教コーラスの会

13日(火)午後2時~ 門徒女性聞法のつどい
            和讃に学ぶ 22   

15日(金)午後2時~ 仏教民謡踊りの会

23日(祝)午後1時~ おみがき清掃ご奉仕
            年末懇親会

*十一月の門徒女性聞法の集いはお休みです。
*本堂内すべて椅子席、床暖房完備、どなた様もお気軽に。
真宗大谷派 鶴栖山 安泉寺

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