2019.08.28ブログ
寺報「法悦」2019年9月
法 悦 9月号 828号
方一尺の天地
ミズスマシ
しきりに円を描く
汝いずこより来たりて
いずこに行かんとす?
「へえ、忙しおましてなぁ」
青色青光
ご法事等で読経・法話を致しますが、殊に厳粛な読経の時、のどの調子がとても気になります。
調子の良いときは気持ちよく読経できるのですが、風邪気味の時など、出にくい声を懸命に出そうとすればするほど、ますます辛くなる事があります。そんな時、思い出すエピソードがあります。
随分以前のことになりますが、ご本山での同朋ジュニア大会の折り、準備が順調に進まず、スタッフの誰もが苛立っていたその時、リーダーの先輩がすっくと立ち上がり、「皆さん、時間がありません!時間がありませんから、ゆっくり致しましょう!」と獅子吼されました。
目から鱗が落ちるとはまさにこの事。誰もが我を取り戻し、その後の作業は順調に進みました。
そんな事を思い出しながら、調子が悪く焦りの心が生じた時、「調子が悪い、悪いからこそ、ゆっくり丁寧に致しましょう」と、思うと不思議と肩の力も抜け、のども少し楽になります。
昔に比べれば格段に便利で豊かな時代、本来ゆとりが増えて当然なのに、ますます忙しく感じられ、誰もがいらだち、不寛容になっています。 だからこそ、およそ効率的とは言えない宗教儀式、そこには、故人への想いと私の歩みを振り返り、心の内なる時間を増やす、先人の知恵が詰まった深い意味がある、とは言えないでしょうか。
住職日々随想
嘘は 百万年かけて固めましても
嘘です 平野 修
犯罪心理学に「曖昧な情報×私における重大関心=デマ」という公式があるそうですが、八月二十五日の天声人語に、情報発信ということについて、考えさせられる記事が書かれていました。
マサチューセッツ工科大学で行われた実験で、デマと真実の拡散する早さを比較してみると、デマは真実の6倍の速さで伝播する、との研究結果が発表されたそうです。
デマには怒りや誹謗中傷などの負の感情が伴う場合が多く、より伝播しやすくなるそうです。
あおり運転を繰り返したあげく、相手ドライバーの車を無理矢理停車させ、暴行を働いた男と、その男の逃走を助けた犯人隠避の容疑で、同乗していた女も逮捕されました。
そんな女とは全く無関係でありながら、間違えられてSNS上で誹謗中傷され、さらにそれをネット上で拡散された女性が、被害を訴え出るという事案が発生しました。
SNSなどインターネット上の情報は、それが誤りであったとしても、いつまでも残り続けます。
結果、デマを流された人も、デマを流したり追認した人、更には拡散した人も、ネット上でいつまでも晒され続けることになります。
指先一つで情報を発信できる時代。それは又、だれもがデマ情報の被害者にも加害者にもなり得る恐れがあると言うことです。
一度世界中に拡散された情報を消すことは容易なことではありません。まさに、人の噂も七十五日、などと言ってはおられなくなったようです。
蓮如上人の、御一代記聞書に、「たとい正義(しょうぎ)たりとも、しげからんことをば、停止(ちょうじ)すべき由候」という言葉があります。
本来、仏教で言われる正義とは、仏法に対する正しい理解という意味ですが、ここでは、もっと広く世間一般で理解されている正義(せいぎ)と受け取って良いかと思います。
つまり、たとえそれが正しいことであっったとしても、自分は正義の徒なのだ、自分こそが正義の味方なのだと、どこまでも自分が正義であることに固執して、それを主張し続ける、ということがあってはならないと、戒めておられるのです。
実際、人と人が相争うのは、ご互いに我こそ正義なりと、正義と正義が対立して譲らないところから始まります。
司馬遼太郎氏は、ベトナム戦争の戦跡を見て回られた手記に、「人間は、正義の名を自分に掲げたときには、どんな残酷なことでもする」と記しておられます。
ひとは皆、至らぬ凡夫どうし、そのことをしっかりわきまえ、感情にまかせて結論を急いだりせず、踏みとどまって熟慮しなければなりません。
「流言は知者に止まる」のことわざ通り、判断力の有る知者がいれば、デマはそれ以上広がらない。心したいことです。
九月の行事
3 日(火)午後2時~ 囲碁教室
5 日(木)午前10時半~ピラティス
8 日(日)午前10時半~伝統文化親子教室
10日(火)午後2時~ 門徒女性聞法の集い
19日(木)午前10時半~ピラティス
20日(金)午後2時~ 仏教コーラスの会
21日(土)午後2時・午後6時
秋季彼岸永代経法要・仏教コーラス発表会
ご法話 阿倍野即応寺 藤井善隆師
お抹茶・お斎接待有ります
26日(木)午後2時~仏教民謡踊りの会
十月の行事
1 日(火)午後2時~ 囲碁教室
3 日(木)午前10時半~ ピラティス
6 日(日)午前10時半~伝統文化親子教室
8 日(火)午後2時~ 門徒女性聞法の集い
11日(金)午後2時~仏教コーラスの会
17日(木)午後2時~ 仏教民謡踊りの会
19日(土)午後4時~ 祥月講同朋の会聞法会
ご法話 圓龍寺住職 門井 斉師
24日(木)午前10時半~ ピラティス
27日(日)午前10時 ~ 伝統文化親子教室
方一尺の天地
ミズスマシ
しきりに円を描く
汝いずこより来たりて
いずこに行かんとす?
「へえ、忙しおましてなぁ」
青色青光
ご法事等で読経・法話を致しますが、殊に厳粛な読経の時、のどの調子がとても気になります。
調子の良いときは気持ちよく読経できるのですが、風邪気味の時など、出にくい声を懸命に出そうとすればするほど、ますます辛くなる事があります。そんな時、思い出すエピソードがあります。
随分以前のことになりますが、ご本山での同朋ジュニア大会の折り、準備が順調に進まず、スタッフの誰もが苛立っていたその時、リーダーの先輩がすっくと立ち上がり、「皆さん、時間がありません!時間がありませんから、ゆっくり致しましょう!」と獅子吼されました。
目から鱗が落ちるとはまさにこの事。誰もが我を取り戻し、その後の作業は順調に進みました。
そんな事を思い出しながら、調子が悪く焦りの心が生じた時、「調子が悪い、悪いからこそ、ゆっくり丁寧に致しましょう」と、思うと不思議と肩の力も抜け、のども少し楽になります。
昔に比べれば格段に便利で豊かな時代、本来ゆとりが増えて当然なのに、ますます忙しく感じられ、誰もがいらだち、不寛容になっています。 だからこそ、およそ効率的とは言えない宗教儀式、そこには、故人への想いと私の歩みを振り返り、心の内なる時間を増やす、先人の知恵が詰まった深い意味がある、とは言えないでしょうか。
住職日々随想
嘘は 百万年かけて固めましても
嘘です 平野 修
犯罪心理学に「曖昧な情報×私における重大関心=デマ」という公式があるそうですが、八月二十五日の天声人語に、情報発信ということについて、考えさせられる記事が書かれていました。
マサチューセッツ工科大学で行われた実験で、デマと真実の拡散する早さを比較してみると、デマは真実の6倍の速さで伝播する、との研究結果が発表されたそうです。
デマには怒りや誹謗中傷などの負の感情が伴う場合が多く、より伝播しやすくなるそうです。
あおり運転を繰り返したあげく、相手ドライバーの車を無理矢理停車させ、暴行を働いた男と、その男の逃走を助けた犯人隠避の容疑で、同乗していた女も逮捕されました。
そんな女とは全く無関係でありながら、間違えられてSNS上で誹謗中傷され、さらにそれをネット上で拡散された女性が、被害を訴え出るという事案が発生しました。
SNSなどインターネット上の情報は、それが誤りであったとしても、いつまでも残り続けます。
結果、デマを流された人も、デマを流したり追認した人、更には拡散した人も、ネット上でいつまでも晒され続けることになります。
指先一つで情報を発信できる時代。それは又、だれもがデマ情報の被害者にも加害者にもなり得る恐れがあると言うことです。
一度世界中に拡散された情報を消すことは容易なことではありません。まさに、人の噂も七十五日、などと言ってはおられなくなったようです。
蓮如上人の、御一代記聞書に、「たとい正義(しょうぎ)たりとも、しげからんことをば、停止(ちょうじ)すべき由候」という言葉があります。
本来、仏教で言われる正義とは、仏法に対する正しい理解という意味ですが、ここでは、もっと広く世間一般で理解されている正義(せいぎ)と受け取って良いかと思います。
つまり、たとえそれが正しいことであっったとしても、自分は正義の徒なのだ、自分こそが正義の味方なのだと、どこまでも自分が正義であることに固執して、それを主張し続ける、ということがあってはならないと、戒めておられるのです。
実際、人と人が相争うのは、ご互いに我こそ正義なりと、正義と正義が対立して譲らないところから始まります。
司馬遼太郎氏は、ベトナム戦争の戦跡を見て回られた手記に、「人間は、正義の名を自分に掲げたときには、どんな残酷なことでもする」と記しておられます。
ひとは皆、至らぬ凡夫どうし、そのことをしっかりわきまえ、感情にまかせて結論を急いだりせず、踏みとどまって熟慮しなければなりません。
「流言は知者に止まる」のことわざ通り、判断力の有る知者がいれば、デマはそれ以上広がらない。心したいことです。
九月の行事
3 日(火)午後2時~ 囲碁教室
5 日(木)午前10時半~ピラティス
8 日(日)午前10時半~伝統文化親子教室
10日(火)午後2時~ 門徒女性聞法の集い
19日(木)午前10時半~ピラティス
20日(金)午後2時~ 仏教コーラスの会
21日(土)午後2時・午後6時
秋季彼岸永代経法要・仏教コーラス発表会
ご法話 阿倍野即応寺 藤井善隆師
お抹茶・お斎接待有ります
26日(木)午後2時~仏教民謡踊りの会
十月の行事
1 日(火)午後2時~ 囲碁教室
3 日(木)午前10時半~ ピラティス
6 日(日)午前10時半~伝統文化親子教室
8 日(火)午後2時~ 門徒女性聞法の集い
11日(金)午後2時~仏教コーラスの会
17日(木)午後2時~ 仏教民謡踊りの会
19日(土)午後4時~ 祥月講同朋の会聞法会
ご法話 圓龍寺住職 門井 斉師
24日(木)午前10時半~ ピラティス
27日(日)午前10時 ~ 伝統文化親子教室
New Article
Archive
- 2024年11月
- 2024年9月
- 2024年7月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年8月
- 2021年6月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2020年12月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年3月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月