2021.04.02ブログ
法悦 4月
法 悦 4月号 847号
さくら 茨木のりこ
ことしも生きてさくらを見ています
ひとは生涯に何回ぐらい
さくらをみるのかしら
ものごころつくのが十歳ぐらいなら
どんなに多くても七十回ぐらい
三十回 四十回のひともざら
なんという少なさだろう
もっともっと多く見るような気がするのは
祖先の視覚もまぎれこみ重なりあい
霞(かすみ)立つせいでしょう
あでやかとも妖しとも不気味とも
捉えかねる花のいろ
さくらふぶきの下をふららと歩けば
一瞬名僧のごとくにわかるのです
死こそ常態
生はいとしき蜃気楼と
青色青光
春は出遇い、そして、別れの季節。
そんな春を彩る花の中でも、櫻花は、その淡く優しい色合いと、散り際の
潔さから、特別な感慨をもたらしてくれます。
若い頃には無邪気に春の訪れを喜べたりもいたしますが、歳を重ねれば
重ねるほど、来年も又この季節に巡り会うことが出来るのだろうかと
、自らに問い返さずにはおれなくなることが増えてまいります。
ギリシャ神話に、死者は「レテ」という忘却の川を渡って此の世に再生
するので、前世の記憶を失って生まれてくると説きますが、たとえそうで
なくても、記憶の断片がいのちの底に残っているのか、初めて目にし、
耳にするはずのものにも、感動するということが、不思議と誰の身にも起こります。
親鸞聖人のあきらかにされたお念仏のみ教えと、現代社会の様々な課題とを
切り結びながら、常に新たな課題を提起して下さり、九十歳で西帰された、
故、和田稠師は、晩年のご講演の折り「こうしてお目にかかるのは初めての方も
おられますが、不思議と、どなた様もお懐かしいような、お名残惜しいような、
そんな気持ちが致します。」とたびたび仰っておられ、何かそこには、生死の別を
超えて響き合う、いのちの不思議を感じずにはおれませんでした。
まさに死こそ常態、生はいとしき蜃気楼と、願生浄土の歩みとして、生が
確かに頂かれることです。
住職日々随想
米国スタンフォード大学の心理
学者、ジェニファー・エバーハート氏は、人は何故差別をするのか?悪意なき
偏見をめぐって『無意識のバイアス』という書を著されました。
その冒頭には、彼女が受けた衝撃的な出来事が紹介されています。
5歳の長男を連れて飛行機に乗ったとき、息子が一人の男性を指さして
「あの人お父さんみたいだね」と、ところがその男性は長髪で彼女の夫は坊主頭、
身長も夫よりは低く、黒人男性であると言うこと以外、似ても似つかないのに
何故?と思っているとき息子が「あの男の人、飛行機を襲わないといいね」と
衝撃の一言、「何故そんなことを言うの」と問いただしても、息子は答えられずに
悲しそうな顔をするだけ、彼女は息子にまで刻み込まれた、人種的偏見に
打ちのめされた、と。
人は誰しも悪意の有無にかかわらず偏見、いわゆるバイアスを持っています。
偏見は偏見として自覚しないと、差別と格差を生み出す心は、次々と伝播し再生産
されていってしまいます。 お釈迦様はお生まれになってすぐに七歩歩まれ、
天と地を指さして「天上天下唯我独尊、われ世に於いて無上尊となるべし。」と獅子吼
されました。その時、大地は喜びにうち震え、天からは妙なる音楽が流れ、花びらが舞い、
甘露の雨が降り注いだと伝えられ、その伝説にならい、世界各地の仏教国に於いて、
四月八日には降誕会(ごうたんえ)もしくは灌仏会(かんぶつえ)と称して、花御堂の
誕生仏に甘茶を掛けて、お釈迦様の誕生を祝う行事が営まれます。
お釈迦様がお生まれになって、すぐに七歩歩まれたと言うことは、迷いの六道を
超えてお悟りを開かれたことを、さらに天と地を指さして天上天下唯我独尊と獅子吼
されたのは、私が一番偉いなどと仰ったのではなく、「天の上にも天の下にも、いま
誕生したこのおいのちは、かけがえのない尊いものなのです。」と、此の世に生を賜った、
どのいのちもすべて尊いものと、カーストという厳しい差別が当たり前の時代に、
いのちの絶対平等性を示されたのです。
およそ仏教では、比べることの出来ないものを比べる心を「慢」といい、煩悩の一つと
して戒めています。
いわゆる高上がりをして他を見下す心を驕慢心、その逆に「どうせ自分なんかは」
と卑下し、自己軽蔑する卑下慢、そして「あんたも私もチョボチョボや」とする
小ずるい心を等慢と、いずれも迷いの煩悩と教えられています。
親鸞聖人は正信偈の中で「不断煩悩得涅槃」と、阿弥陀仏をたのむところに賜る、
断ずることの出来ない煩悩を、煩悩としてまっすぐに見つめ続け、どこまでも課題
として担っていける、そのような人として、日々あらたに誕生し続ける
「念仏成仏の一道」をあきらかにされたのです。
坊守便り ー春季彼岸永代経ー
新型コロナの新規感染者数が徐々に減り始め、少しずつ地域の行事も
再開されてきました。
お寺の女性副部長さんは地元、鶴橋連合町会の女性部長さんです。
百歳体操が再開され、ふれあい喫茶のサービスも販売のみですが再開されたそうです。
当寺も役員さんとのご相談の上、例年の二座を一座に短縮して、春季彼岸会を
お勤めしました。月に何度かの女性の講座もコロナ禍のためお休みしていましたので、
ご参詣頂けるのか心配いたしましたが、お餅屋さんにお願いしたお斎がすべて無くなる
ほどで、嬉しいことでした。
ご法話のご講師は、安泉寺でも馴染みが深くなった、伊勢の酒井正夫先生で、
「尊さについて」の講題でお話を頂きました。
本当の尊さ、人間の尊厳とは何なのかをいつもお話くださいますが、今回はコロナ禍に
触れ、私たちはこのコロナ禍で大きな生活の制限をうけ、生活スタイルの変更も余儀なく
されました。
でも、そのことは自分にとって本当に大切なものは何だったか立ち止まり考える、生き方を
問い直す出来事でもあったとお話し下さいました。
老いと病についてもお話されました。少子化と超高齢化のなか、人生百年時代のこころの
あり方を問い直し、病になることも無駄ではない、人生におこる出来事に何一つ無駄なもの
はなく、どんな出来事も無意味ではない、切り捨てるのではなく、受け止めていく、
そんな念仏の生活をお話下さいました。
ご門徒の皆様と彼岸永代経をお勤めし、ご法話を聴聞させていただけて、嬉しい事でした。
四月の行事
1 日(木)午前10時半~ピラティス
15日(木)午前10時半~ピラティス
午後2時~仏教民謡踊りの会
17日(土)午後2時~祥月講・同朋の会
ご講師 武庫川念仏寺 土井紀明師
*本年四月より祥月講・同朋の会の開始時刻を繰 り上げ2時からとさせていただきます。
五月の行事
6 日(木)午前10時半~ピラティス
15日(土)午後2時~祥月講・同朋の会
講師 未定
20日(木)午前10時半~ピラティス
午後2時~仏教民謡踊りの会
*コロナ禍の状況に依りましては、急な行事変更 もあり得ます。
尚、感染予防に留意して準備致して
おりますが、お越しの節はマスク等の
ご着用を、宜しくお願い申し上げます。
さくら 茨木のりこ
ことしも生きてさくらを見ています
ひとは生涯に何回ぐらい
さくらをみるのかしら
ものごころつくのが十歳ぐらいなら
どんなに多くても七十回ぐらい
三十回 四十回のひともざら
なんという少なさだろう
もっともっと多く見るような気がするのは
祖先の視覚もまぎれこみ重なりあい
霞(かすみ)立つせいでしょう
あでやかとも妖しとも不気味とも
捉えかねる花のいろ
さくらふぶきの下をふららと歩けば
一瞬名僧のごとくにわかるのです
死こそ常態
生はいとしき蜃気楼と
青色青光
春は出遇い、そして、別れの季節。
そんな春を彩る花の中でも、櫻花は、その淡く優しい色合いと、散り際の
潔さから、特別な感慨をもたらしてくれます。
若い頃には無邪気に春の訪れを喜べたりもいたしますが、歳を重ねれば
重ねるほど、来年も又この季節に巡り会うことが出来るのだろうかと
、自らに問い返さずにはおれなくなることが増えてまいります。
ギリシャ神話に、死者は「レテ」という忘却の川を渡って此の世に再生
するので、前世の記憶を失って生まれてくると説きますが、たとえそうで
なくても、記憶の断片がいのちの底に残っているのか、初めて目にし、
耳にするはずのものにも、感動するということが、不思議と誰の身にも起こります。
親鸞聖人のあきらかにされたお念仏のみ教えと、現代社会の様々な課題とを
切り結びながら、常に新たな課題を提起して下さり、九十歳で西帰された、
故、和田稠師は、晩年のご講演の折り「こうしてお目にかかるのは初めての方も
おられますが、不思議と、どなた様もお懐かしいような、お名残惜しいような、
そんな気持ちが致します。」とたびたび仰っておられ、何かそこには、生死の別を
超えて響き合う、いのちの不思議を感じずにはおれませんでした。
まさに死こそ常態、生はいとしき蜃気楼と、願生浄土の歩みとして、生が
確かに頂かれることです。
住職日々随想
米国スタンフォード大学の心理
学者、ジェニファー・エバーハート氏は、人は何故差別をするのか?悪意なき
偏見をめぐって『無意識のバイアス』という書を著されました。
その冒頭には、彼女が受けた衝撃的な出来事が紹介されています。
5歳の長男を連れて飛行機に乗ったとき、息子が一人の男性を指さして
「あの人お父さんみたいだね」と、ところがその男性は長髪で彼女の夫は坊主頭、
身長も夫よりは低く、黒人男性であると言うこと以外、似ても似つかないのに
何故?と思っているとき息子が「あの男の人、飛行機を襲わないといいね」と
衝撃の一言、「何故そんなことを言うの」と問いただしても、息子は答えられずに
悲しそうな顔をするだけ、彼女は息子にまで刻み込まれた、人種的偏見に
打ちのめされた、と。
人は誰しも悪意の有無にかかわらず偏見、いわゆるバイアスを持っています。
偏見は偏見として自覚しないと、差別と格差を生み出す心は、次々と伝播し再生産
されていってしまいます。 お釈迦様はお生まれになってすぐに七歩歩まれ、
天と地を指さして「天上天下唯我独尊、われ世に於いて無上尊となるべし。」と獅子吼
されました。その時、大地は喜びにうち震え、天からは妙なる音楽が流れ、花びらが舞い、
甘露の雨が降り注いだと伝えられ、その伝説にならい、世界各地の仏教国に於いて、
四月八日には降誕会(ごうたんえ)もしくは灌仏会(かんぶつえ)と称して、花御堂の
誕生仏に甘茶を掛けて、お釈迦様の誕生を祝う行事が営まれます。
お釈迦様がお生まれになって、すぐに七歩歩まれたと言うことは、迷いの六道を
超えてお悟りを開かれたことを、さらに天と地を指さして天上天下唯我独尊と獅子吼
されたのは、私が一番偉いなどと仰ったのではなく、「天の上にも天の下にも、いま
誕生したこのおいのちは、かけがえのない尊いものなのです。」と、此の世に生を賜った、
どのいのちもすべて尊いものと、カーストという厳しい差別が当たり前の時代に、
いのちの絶対平等性を示されたのです。
およそ仏教では、比べることの出来ないものを比べる心を「慢」といい、煩悩の一つと
して戒めています。
いわゆる高上がりをして他を見下す心を驕慢心、その逆に「どうせ自分なんかは」
と卑下し、自己軽蔑する卑下慢、そして「あんたも私もチョボチョボや」とする
小ずるい心を等慢と、いずれも迷いの煩悩と教えられています。
親鸞聖人は正信偈の中で「不断煩悩得涅槃」と、阿弥陀仏をたのむところに賜る、
断ずることの出来ない煩悩を、煩悩としてまっすぐに見つめ続け、どこまでも課題
として担っていける、そのような人として、日々あらたに誕生し続ける
「念仏成仏の一道」をあきらかにされたのです。
坊守便り ー春季彼岸永代経ー
新型コロナの新規感染者数が徐々に減り始め、少しずつ地域の行事も
再開されてきました。
お寺の女性副部長さんは地元、鶴橋連合町会の女性部長さんです。
百歳体操が再開され、ふれあい喫茶のサービスも販売のみですが再開されたそうです。
当寺も役員さんとのご相談の上、例年の二座を一座に短縮して、春季彼岸会を
お勤めしました。月に何度かの女性の講座もコロナ禍のためお休みしていましたので、
ご参詣頂けるのか心配いたしましたが、お餅屋さんにお願いしたお斎がすべて無くなる
ほどで、嬉しいことでした。
ご法話のご講師は、安泉寺でも馴染みが深くなった、伊勢の酒井正夫先生で、
「尊さについて」の講題でお話を頂きました。
本当の尊さ、人間の尊厳とは何なのかをいつもお話くださいますが、今回はコロナ禍に
触れ、私たちはこのコロナ禍で大きな生活の制限をうけ、生活スタイルの変更も余儀なく
されました。
でも、そのことは自分にとって本当に大切なものは何だったか立ち止まり考える、生き方を
問い直す出来事でもあったとお話し下さいました。
老いと病についてもお話されました。少子化と超高齢化のなか、人生百年時代のこころの
あり方を問い直し、病になることも無駄ではない、人生におこる出来事に何一つ無駄なもの
はなく、どんな出来事も無意味ではない、切り捨てるのではなく、受け止めていく、
そんな念仏の生活をお話下さいました。
ご門徒の皆様と彼岸永代経をお勤めし、ご法話を聴聞させていただけて、嬉しい事でした。
四月の行事
1 日(木)午前10時半~ピラティス
15日(木)午前10時半~ピラティス
午後2時~仏教民謡踊りの会
17日(土)午後2時~祥月講・同朋の会
ご講師 武庫川念仏寺 土井紀明師
*本年四月より祥月講・同朋の会の開始時刻を繰 り上げ2時からとさせていただきます。
五月の行事
6 日(木)午前10時半~ピラティス
15日(土)午後2時~祥月講・同朋の会
講師 未定
20日(木)午前10時半~ピラティス
午後2時~仏教民謡踊りの会
*コロナ禍の状況に依りましては、急な行事変更 もあり得ます。
尚、感染予防に留意して準備致して
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