2022.04.02ブログ
法悦 4月
2022年4月
法 悦 4月号 859号
すべてのものは暴力におびえる。
すべての(生きもの)にとって
生命は愛(いと)しい。
己が身にひきくらべて、
殺してはならぬ。
殺さしめてはならぬ。
(法句経 130偈)
青色青光
かつて朝日新聞は、毎年元旦に新春のことばと題して、著名人の今年の願いを掲載していました。
昭和十二年の一月一日の新聞には、作家、野上弥生子の「一つのねぎごと(神に祈る事)として、神聖な年神さまにたった一つのお願いごとをしたい。今年は豊作でございましょうか、凶作でございましょうか、いいえどちらでもよろしゅうございます。コレラとペストが一緒にはやってもよろしゅうございます。大地震や大噴火があっても構わない、どうか戦争だけはございませんように…」という一文が載せられ、賛否さまざまに物議を醸しました。
しかしそんな願いも虚しく、その年の七月七日、盧溝橋事件に端を発する日中戦争が勃発、さらに太平洋戦争へと突入していきました。誰も幸せにはなれない愚行を、なにゆえ私たち人間は繰り返すのでしょう?
国連安全保障理事会の理事国、という名の核保有国の横暴を目の当たりにしている今、唯一の被爆国である我が国も、核を持つべきだという方もおられますが、短絡的な意見に与することなく、釈尊のみ教え
に耳を傾け、人類の集合知を総動員して、暴力によらない、真の平和を希求しなければならないのではないでしょうか。
住職日々随想
ーほとけの顔も三度までー
いかに温和な仏様でも、顔を三度もなでられると腹を立てるの意から、どんなに慈悲深い人でも、無法なことをたびたびされると怒ること、と一般的には解釈されていますが、その由来として語り継がれているエピソードが仏典にあります。
お釈迦様は正しくは釈迦族ご出身の尊者、釈迦牟尼世尊または釈迦牟尼仏陀と申しあげます。
お生まれになった釈迦国は、小さいながらも誇り高い血筋の部族でした。その隣国にコーサラ国という、急速に勢力を拡大してきた国がありました。
コーサラ国王は自国の権威付けのため、釈迦国に自分の妻となる女性を送るよう要求しますが、コーサラ国のことを快く思わない釈迦族の長老達は、わざと身分の低い女性の娘を、王女と偽って送り出しました。やがてコーサラ国王と、その女性との間に王子が生まれますが、その女性が身分の低い女性だったことが露見してしまいます。
現代にも続く厳しい身分差別のため、卑しい身分の女性から生まれた子供であると分かった王子は、周りの人達はもちろん父王からも、疎まれてしまいます。
屈辱を受けた王子は、王位を簒奪し、深く恨みをいだく釈迦国を滅ぼすため出兵します。ところが、その途上、お釈迦様が炎天下の中、枯れ木の下で端座しておられました。不審に思った王が「尊者よ、なにゆえあなたはそのようなところにおられるのですか?」と尋ねると「大王よ、親族の木陰は涼しいものだ。」と、ともに親族同士の両国、どうか矛を収めて欲しいと身を挺して諭されたのでした。
お釈迦様を蹴散らしていくわけにもいかない王は、引き返していきました。そのようなことが三度あったそうですが、やはり、恨みをいだく王の心を静めるには至らず、四度目の出兵のとき「まさにこれは釈迦族の犯した罪の報い、受けねばならない業なのか」と、軍勢を見送られました。
結果、釈迦族は老いも若きも、男も女も皆殺しにされ、ついに絶滅してしまいました。
巻頭の法句経のお言葉には、そういった出来事を、身を以て経験されたお釈迦様の、恒久平和を願う深い悲願が込められてあるのです。
坊守便り
ー春の彼岸会ー
長引くコロナ自粛の中、春の永代経・彼岸会法要をお勤めさせて頂きました。
新型オミクロン株は年明けから爆発的に感染者数が増え、殊に大阪は感染者数に対し、高齢の死亡者数が全国でも特別に多く、気の抜けないことでした。
救急車を要請しても、搬送先が決まらないと問題となっていましたが、とうとうお寺にご縁の深いご門徒さんが、この医療の逼迫に巻き込まれお亡くなりになりました。
心臓の具合が悪く医師の緊急治療が必要でしたが、受け入れ先が決まらず、救急車で長く待機されたそうです。
住職主催の囲碁クラブにご参加下さり、本堂行事にも積極的にご協力下さいました。同朋会の皆さんとご一緒にお悔やみに伺いました。
蔓延防止期間も一区切りとなりましたが、この期間にコロナ感染ではなく、コロナ禍の影響を受けられた方が多くおられたと、永代経に際し、思い巡らせご供養させて頂いたことでした。
そのような中、同朋の会・女性部の皆さんとも久しぶりにお会いしたことを喜び、伊勢からのご講師、酒井先生が熱く語られる「あるがままの大切ないのち」のお話を共に聞法致しました。
また、小さなお子さんとお参り下さった若いお父さんの姿も、心嬉しい春のお彼岸でした。
四月の行事
7 日(木)午前10時半~ピラティス
16日(土)午後2時~祥月講・同朋の会聞法会
ご講師 円明寺 髙島章師
21日(木)午前10時半~ピラティス
午後2時~仏教民謡踊りの会
五月の行事
12日(木)午前10時半~ピラティス
21日(土)午後2時~祥月講・同朋の会聞法会
ご講師 念仏寺 土井紀明師
26日(木)午前10時半~ピラティス
午後2時~仏教民謡踊りの会
*感染予防には十分配慮し、各行事を行ってまいりますが、感染がさらに拡大した場合、変更もしくは中止する場合がございます。
法 悦 4月号 859号
すべてのものは暴力におびえる。
すべての(生きもの)にとって
生命は愛(いと)しい。
己が身にひきくらべて、
殺してはならぬ。
殺さしめてはならぬ。
(法句経 130偈)
青色青光
かつて朝日新聞は、毎年元旦に新春のことばと題して、著名人の今年の願いを掲載していました。
昭和十二年の一月一日の新聞には、作家、野上弥生子の「一つのねぎごと(神に祈る事)として、神聖な年神さまにたった一つのお願いごとをしたい。今年は豊作でございましょうか、凶作でございましょうか、いいえどちらでもよろしゅうございます。コレラとペストが一緒にはやってもよろしゅうございます。大地震や大噴火があっても構わない、どうか戦争だけはございませんように…」という一文が載せられ、賛否さまざまに物議を醸しました。
しかしそんな願いも虚しく、その年の七月七日、盧溝橋事件に端を発する日中戦争が勃発、さらに太平洋戦争へと突入していきました。誰も幸せにはなれない愚行を、なにゆえ私たち人間は繰り返すのでしょう?
国連安全保障理事会の理事国、という名の核保有国の横暴を目の当たりにしている今、唯一の被爆国である我が国も、核を持つべきだという方もおられますが、短絡的な意見に与することなく、釈尊のみ教え
に耳を傾け、人類の集合知を総動員して、暴力によらない、真の平和を希求しなければならないのではないでしょうか。
住職日々随想
ーほとけの顔も三度までー
いかに温和な仏様でも、顔を三度もなでられると腹を立てるの意から、どんなに慈悲深い人でも、無法なことをたびたびされると怒ること、と一般的には解釈されていますが、その由来として語り継がれているエピソードが仏典にあります。
お釈迦様は正しくは釈迦族ご出身の尊者、釈迦牟尼世尊または釈迦牟尼仏陀と申しあげます。
お生まれになった釈迦国は、小さいながらも誇り高い血筋の部族でした。その隣国にコーサラ国という、急速に勢力を拡大してきた国がありました。
コーサラ国王は自国の権威付けのため、釈迦国に自分の妻となる女性を送るよう要求しますが、コーサラ国のことを快く思わない釈迦族の長老達は、わざと身分の低い女性の娘を、王女と偽って送り出しました。やがてコーサラ国王と、その女性との間に王子が生まれますが、その女性が身分の低い女性だったことが露見してしまいます。
現代にも続く厳しい身分差別のため、卑しい身分の女性から生まれた子供であると分かった王子は、周りの人達はもちろん父王からも、疎まれてしまいます。
屈辱を受けた王子は、王位を簒奪し、深く恨みをいだく釈迦国を滅ぼすため出兵します。ところが、その途上、お釈迦様が炎天下の中、枯れ木の下で端座しておられました。不審に思った王が「尊者よ、なにゆえあなたはそのようなところにおられるのですか?」と尋ねると「大王よ、親族の木陰は涼しいものだ。」と、ともに親族同士の両国、どうか矛を収めて欲しいと身を挺して諭されたのでした。
お釈迦様を蹴散らしていくわけにもいかない王は、引き返していきました。そのようなことが三度あったそうですが、やはり、恨みをいだく王の心を静めるには至らず、四度目の出兵のとき「まさにこれは釈迦族の犯した罪の報い、受けねばならない業なのか」と、軍勢を見送られました。
結果、釈迦族は老いも若きも、男も女も皆殺しにされ、ついに絶滅してしまいました。
巻頭の法句経のお言葉には、そういった出来事を、身を以て経験されたお釈迦様の、恒久平和を願う深い悲願が込められてあるのです。
坊守便り
ー春の彼岸会ー
長引くコロナ自粛の中、春の永代経・彼岸会法要をお勤めさせて頂きました。
新型オミクロン株は年明けから爆発的に感染者数が増え、殊に大阪は感染者数に対し、高齢の死亡者数が全国でも特別に多く、気の抜けないことでした。
救急車を要請しても、搬送先が決まらないと問題となっていましたが、とうとうお寺にご縁の深いご門徒さんが、この医療の逼迫に巻き込まれお亡くなりになりました。
心臓の具合が悪く医師の緊急治療が必要でしたが、受け入れ先が決まらず、救急車で長く待機されたそうです。
住職主催の囲碁クラブにご参加下さり、本堂行事にも積極的にご協力下さいました。同朋会の皆さんとご一緒にお悔やみに伺いました。
蔓延防止期間も一区切りとなりましたが、この期間にコロナ感染ではなく、コロナ禍の影響を受けられた方が多くおられたと、永代経に際し、思い巡らせご供養させて頂いたことでした。
そのような中、同朋の会・女性部の皆さんとも久しぶりにお会いしたことを喜び、伊勢からのご講師、酒井先生が熱く語られる「あるがままの大切ないのち」のお話を共に聞法致しました。
また、小さなお子さんとお参り下さった若いお父さんの姿も、心嬉しい春のお彼岸でした。
四月の行事
7 日(木)午前10時半~ピラティス
16日(土)午後2時~祥月講・同朋の会聞法会
ご講師 円明寺 髙島章師
21日(木)午前10時半~ピラティス
午後2時~仏教民謡踊りの会
五月の行事
12日(木)午前10時半~ピラティス
21日(土)午後2時~祥月講・同朋の会聞法会
ご講師 念仏寺 土井紀明師
26日(木)午前10時半~ピラティス
午後2時~仏教民謡踊りの会
*感染予防には十分配慮し、各行事を行ってまいりますが、感染がさらに拡大した場合、変更もしくは中止する場合がございます。
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