2022.11.30ブログ
法悦 2022年12月
法 悦 12月号 867号
親鸞讃歌(宗祖を憶ふ) 金子大榮
昔 法師あり 親鸞と名づく
殿上に生れて庶民の心あり
底下となりて高貴の性を失わず
己にして愛欲のたち難きを知り
俗に帰れども道心を捨てず
一生凡夫にして 大涅槃の終りを期す
人間を懐かしみつつ
人に昵(なづ)む能(あた)わず
名利の空なるを知り
離れ得ざるを悲しむ
流浪の生涯に 常楽の故郷を慕い
孤独の淋しさ 万人の悩みを思う
聖教を披(ひら)くも文字を見ず
ただ言葉のひびきをきく
正法を説けども師弟をいわず
ひとえに同朋の縁をよろこぶ
本願を仰いでは
身の善悪をかえりみず
念仏に親しんでは
自ら無碍の一道を知る
人に知られざるを憂えず
ただ世を汚さんことを恐れる
己身の罪障に徹して
一切群生の救いを願う
その人逝(ゆ)きて数世紀
長(とこしな)えに死せるが如し
その人去りて七百年
今なお生けるが如し
その人を憶いてわれは生き
その人を忘れてわれは迷う
曠劫多生の縁
よろこび尽くることなし
青色青光
十一月六日、安泉寺では秋晴れの好天の下、門信徒の皆様をはじめ、
地域の保存会の皆様、遠近より多数の僧侶の方々、そして何より多くの
お稚児さんと、そのご家族の皆様、総勢二百五十名の参堂列を迎え、
ご本山に先立ち、改修なった清々しい本堂にて、宗祖親鸞聖人ご誕生
八五〇年・立教開宗八〇〇年予修・大屋根修復境内諸施設整備完了奉告法要を、
賑々しくかつ厳かにお勤めいたしました。
その後のジャグリングとコンサートの夕べも含め、永く記憶に残るすばらしい
法要となりました。
紙面をお借り致しまして、ご支援いただきました皆々様、準備から後片付けまで
ご協力下さった皆々様、ご参詣下さった皆々様には、こころより篤く御礼
申し上げます。
さて、上記の詩は大谷派の碩学、金子大榮師が親鸞聖人七〇〇回御遠忌に
よせて詠まれたもので、親鸞聖人のご生涯の歩みに想いを馳せ、師ご自身の
「宗祖」として、遇いがたくして遇い得た喜びを、深く味わい詠って
おられます。
ご本山でも来春、親鸞聖人のご誕生八五〇年・立教開宗八〇〇年の慶讃法要を
お迎えします。
「人と生まれたことの意味をたずねていこう」と、慶讃法要のテーマが立て
られていますが、親鸞様のご生涯の歩みと、現代社会を生きる私たちの抱え
持つさまざまな課題とどこで交わるのか、ややもすれば時代の羅針盤を
見失って漂流する私たちに、「汝いずこより来たりて、いずこに行かんとす」
と親鸞様から改めて問われているように思うことです。
住職日々随想
連日報じられるウクライナの戦況。
ロシアのプーチン政権に依って引き起こされた蛮行に、国土を蹂躙されて、
家を失い故郷を追われ、家族や大切な人を亡くした、そんな方々の苦しみ
悲しみに胸が痛みます。
と、同時に、戦場にかり出された若者たち、それこそ状況が異なれば、
親しい友ともなり得た者同士が、戦場では殺し合わねばならない、その不条理。
国際政治の荒波に、抗いようもなく翻弄される人々の苦しみ悲しみを、
1991年から1995年まで続いた内戦下のユーゴスラビアで過ごした
セルビアのベオグラード在住の詩人・翻訳家の山崎佳代子さんが著書
『そこから青い闇がささやき』に、旧ユーゴスラビア内戦下の子ども達の
引き裂かれたこころを書いておられます。
「一九九一年一〇月、ベオグラードの幼稚園で、こどもが黒い花を描き始めた。
黒い花は多くの子どもの絵に咲いた。ユーゴスラビア内戦が始まり若い父親が
連邦軍に動員されていたし、クロアチアから難民となって人が流れてきた。
黒い花は不安や恐れを表す。それは、社会に発せられた危険信号だ。
難民となった少年はナイフが突き刺さり血が滴る心臓を描いた。
少年が体験した戦場の残酷さを表すだけではない。心の傷が攻撃的な感情に
転化する危険をも示していた。」と。
難民の心のケアに尽力された心理学者のベスナ・オグニェビッチ女氏は、
奪われたもの、踏みにじられたものを描き出すこどもの力の激しさに言葉を
失ったそうです。
今また同じように繰り返されるウクライナの悲劇。誰ひとりとして幸せに
はなれないのに、何故人間はかくも愚かなことを繰り返してしまうのだろうか
、と思わずにはいられません。
更に言えば今回のウクライナ戦争に乗じて、力には力だと、軍備増強を声高に
叫ぶ政治家たち。それはまた、子どもたちに黒い花を描かせる道に
相違ないのです。
お釈迦様は戒律の第一に、「全てのものは暴力におびえる。全てのものに
とって命は愛おしい。おのが身に引き比べて殺してはならぬ、殺さしめては
ならぬ。」と、不殺生のいましめを説いておられます。
それは、われに正義有りと、他を責める所には成り立ちません。
どこまでも自らの罪業性に向きあい、頭の下がったところに、初めてうなずける
ものなのです。
坊守便り ー慶讃法要ー
十一月六日は快晴に恵まれ良き日
となりました。
親鸞聖人ご誕生八五〇年・立教開宗
八〇〇年慶讃法要予修・本堂大屋根
修復事業完了奉告法要をお勤めさせて頂きました。
いろいろな方に助けて頂いた一日でした。
住職の甥が花立てをしてくれました。一ヶ月前から取り寄せた特別な花材を、
一週間かけ立ててくれました。
儀式用の花は工作のようなものです。作った幹に枝を載せてゆき、見事に
仕上げてくれました。
お稚児さんも、沢山ご参加下さいました。ご門徒皆さんのご協力で、参加の
稚児の愛らしい衣装は庭儀(行列)を豪華にしてくれました。
猪飼野保存会の皆さんも法被をそろえて、警備に当たって下さいました。
若院の友人も大道芸やアーティストの手配、カメラ・動画も担当をして
くれました。
住職は沢山の僧侶と大谷派らしい厳粛なお勤めを声高らかに行ってくれました。
朝早くから、それぞれが持ち場で精一杯に力を発揮し円成した一日と
なりました。
みんなのいい笑顔が素晴らしい事でした。
改めましてお礼申し上げます。
十二月の行事
10日(土)午後2時~祥月講・同朋の会
ご法話 住職
8 日(木)午前10時半~ピラティス
22日(木)午前10時半~ピラティス
25日(日)午後2時~おみがき清掃ご奉仕
31日(土)午後11時~歳暮勤行除夜の鐘
一月の行事
12日(木)午前10時半~ピラティス
21日(土)午後2時~ 修正会(新年ご挨拶)
*コロナ禍でございますので会食等は行いません
26日(木)午前10時半~ピラティス
*感染予防には十分配慮し、各行事を行いますが、感染が
さらに拡大した場合、変更もしくは中止する場合がございます。
親鸞讃歌(宗祖を憶ふ) 金子大榮
昔 法師あり 親鸞と名づく
殿上に生れて庶民の心あり
底下となりて高貴の性を失わず
己にして愛欲のたち難きを知り
俗に帰れども道心を捨てず
一生凡夫にして 大涅槃の終りを期す
人間を懐かしみつつ
人に昵(なづ)む能(あた)わず
名利の空なるを知り
離れ得ざるを悲しむ
流浪の生涯に 常楽の故郷を慕い
孤独の淋しさ 万人の悩みを思う
聖教を披(ひら)くも文字を見ず
ただ言葉のひびきをきく
正法を説けども師弟をいわず
ひとえに同朋の縁をよろこぶ
本願を仰いでは
身の善悪をかえりみず
念仏に親しんでは
自ら無碍の一道を知る
人に知られざるを憂えず
ただ世を汚さんことを恐れる
己身の罪障に徹して
一切群生の救いを願う
その人逝(ゆ)きて数世紀
長(とこしな)えに死せるが如し
その人去りて七百年
今なお生けるが如し
その人を憶いてわれは生き
その人を忘れてわれは迷う
曠劫多生の縁
よろこび尽くることなし
青色青光
十一月六日、安泉寺では秋晴れの好天の下、門信徒の皆様をはじめ、
地域の保存会の皆様、遠近より多数の僧侶の方々、そして何より多くの
お稚児さんと、そのご家族の皆様、総勢二百五十名の参堂列を迎え、
ご本山に先立ち、改修なった清々しい本堂にて、宗祖親鸞聖人ご誕生
八五〇年・立教開宗八〇〇年予修・大屋根修復境内諸施設整備完了奉告法要を、
賑々しくかつ厳かにお勤めいたしました。
その後のジャグリングとコンサートの夕べも含め、永く記憶に残るすばらしい
法要となりました。
紙面をお借り致しまして、ご支援いただきました皆々様、準備から後片付けまで
ご協力下さった皆々様、ご参詣下さった皆々様には、こころより篤く御礼
申し上げます。
さて、上記の詩は大谷派の碩学、金子大榮師が親鸞聖人七〇〇回御遠忌に
よせて詠まれたもので、親鸞聖人のご生涯の歩みに想いを馳せ、師ご自身の
「宗祖」として、遇いがたくして遇い得た喜びを、深く味わい詠って
おられます。
ご本山でも来春、親鸞聖人のご誕生八五〇年・立教開宗八〇〇年の慶讃法要を
お迎えします。
「人と生まれたことの意味をたずねていこう」と、慶讃法要のテーマが立て
られていますが、親鸞様のご生涯の歩みと、現代社会を生きる私たちの抱え
持つさまざまな課題とどこで交わるのか、ややもすれば時代の羅針盤を
見失って漂流する私たちに、「汝いずこより来たりて、いずこに行かんとす」
と親鸞様から改めて問われているように思うことです。
住職日々随想
連日報じられるウクライナの戦況。
ロシアのプーチン政権に依って引き起こされた蛮行に、国土を蹂躙されて、
家を失い故郷を追われ、家族や大切な人を亡くした、そんな方々の苦しみ
悲しみに胸が痛みます。
と、同時に、戦場にかり出された若者たち、それこそ状況が異なれば、
親しい友ともなり得た者同士が、戦場では殺し合わねばならない、その不条理。
国際政治の荒波に、抗いようもなく翻弄される人々の苦しみ悲しみを、
1991年から1995年まで続いた内戦下のユーゴスラビアで過ごした
セルビアのベオグラード在住の詩人・翻訳家の山崎佳代子さんが著書
『そこから青い闇がささやき』に、旧ユーゴスラビア内戦下の子ども達の
引き裂かれたこころを書いておられます。
「一九九一年一〇月、ベオグラードの幼稚園で、こどもが黒い花を描き始めた。
黒い花は多くの子どもの絵に咲いた。ユーゴスラビア内戦が始まり若い父親が
連邦軍に動員されていたし、クロアチアから難民となって人が流れてきた。
黒い花は不安や恐れを表す。それは、社会に発せられた危険信号だ。
難民となった少年はナイフが突き刺さり血が滴る心臓を描いた。
少年が体験した戦場の残酷さを表すだけではない。心の傷が攻撃的な感情に
転化する危険をも示していた。」と。
難民の心のケアに尽力された心理学者のベスナ・オグニェビッチ女氏は、
奪われたもの、踏みにじられたものを描き出すこどもの力の激しさに言葉を
失ったそうです。
今また同じように繰り返されるウクライナの悲劇。誰ひとりとして幸せに
はなれないのに、何故人間はかくも愚かなことを繰り返してしまうのだろうか
、と思わずにはいられません。
更に言えば今回のウクライナ戦争に乗じて、力には力だと、軍備増強を声高に
叫ぶ政治家たち。それはまた、子どもたちに黒い花を描かせる道に
相違ないのです。
お釈迦様は戒律の第一に、「全てのものは暴力におびえる。全てのものに
とって命は愛おしい。おのが身に引き比べて殺してはならぬ、殺さしめては
ならぬ。」と、不殺生のいましめを説いておられます。
それは、われに正義有りと、他を責める所には成り立ちません。
どこまでも自らの罪業性に向きあい、頭の下がったところに、初めてうなずける
ものなのです。
坊守便り ー慶讃法要ー
十一月六日は快晴に恵まれ良き日
となりました。
親鸞聖人ご誕生八五〇年・立教開宗
八〇〇年慶讃法要予修・本堂大屋根
修復事業完了奉告法要をお勤めさせて頂きました。
いろいろな方に助けて頂いた一日でした。
住職の甥が花立てをしてくれました。一ヶ月前から取り寄せた特別な花材を、
一週間かけ立ててくれました。
儀式用の花は工作のようなものです。作った幹に枝を載せてゆき、見事に
仕上げてくれました。
お稚児さんも、沢山ご参加下さいました。ご門徒皆さんのご協力で、参加の
稚児の愛らしい衣装は庭儀(行列)を豪華にしてくれました。
猪飼野保存会の皆さんも法被をそろえて、警備に当たって下さいました。
若院の友人も大道芸やアーティストの手配、カメラ・動画も担当をして
くれました。
住職は沢山の僧侶と大谷派らしい厳粛なお勤めを声高らかに行ってくれました。
朝早くから、それぞれが持ち場で精一杯に力を発揮し円成した一日と
なりました。
みんなのいい笑顔が素晴らしい事でした。
改めましてお礼申し上げます。
十二月の行事
10日(土)午後2時~祥月講・同朋の会
ご法話 住職
8 日(木)午前10時半~ピラティス
22日(木)午前10時半~ピラティス
25日(日)午後2時~おみがき清掃ご奉仕
31日(土)午後11時~歳暮勤行除夜の鐘
一月の行事
12日(木)午前10時半~ピラティス
21日(土)午後2時~ 修正会(新年ご挨拶)
*コロナ禍でございますので会食等は行いません
26日(木)午前10時半~ピラティス
*感染予防には十分配慮し、各行事を行いますが、感染が
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