お知らせnews

西新宿 彩旬亭

2022.12.31ブログ

法悦 1月

 法 悦 1月号 868号
ーいのちは誰のものかー ベアトリス鈴木
 ある日、釈迦族の王子であった少年のお釈迦様と、従弟のダイバダッタが
森に遊びに行かれたそうです。
 折から二人の頭の上を、一羽の白鳥が悠々と飛んでいました。ダイバは
目ざとくそれを見つけ、はっしとばかり矢を射放ちました。確かにうまく
当たったらしく、白鳥は森の彼方に落ちていきました。
 二人の少年はいち早く獲物を手にしようと駆け出しましたが、お釈迦様の
方が少し早く見つけ、抱きかかえました。
そこにダイバが追いつき「それは私の獲物だ、すぐによこせ」と迫りますが、
お釈迦様は「私が先に見つけたのだから私のものだ」と譲りません。
 とどのつまり、国中の賢者を集め、意見を徴することになりました。
ところがお釈迦様のものだという者と、いや、ダイバのものだと言う者の
二派に分かれ、容易に意見がまとまりません。
ところが最後まで黙っていた老賢者が立ち上がり
「すべていのちは、それを愛そう愛そうとしている者のものであって、
それを傷つけよう傷つけようとする者のものではないのだ」と、そう
言い切った賢者の言葉があまりにも厳粛な調子を帯びていたので、自然みな
その言葉に従わざるを得なくなりました。
 こうして白鳥はお釈迦様のものとなり、傷を癒やして大空に帰って
行きました。

青色青光
 上記のお話は、鈴木大拙師の奥様のベアトリスさんが、大学生の英語の
教科書として、編纂されたものの中に掲載されていた物語の要約です。
「あなたのいのちは誰のものですか」と問われたとしましたら、
なんと答えるでしょう?
多くの方は当然のように「私のいのちは私のものに決まっている」と答える
でしょう。でも本当にそうでしょうか?
 先日縁あって、ジェシー釋尼萌海さんという、スイス生まれの大谷派若手
女性僧侶の方の講演をお聞きし、深く考えさせられました。
 彼女の母国のスイスでは法律で、条件さえ満たせば安楽死が認められて
いるそうです。
そして驚いたことに、彼女のお母さんが七〇歳になって、「もう私も十分
生きたから、安楽死の許可申請を出そうと思うの」と言い出されたそうです。
が、身体的にも精神的にも何ら問題の無い、全くの健康体、必要な医師の
診査など通るはずはない、と高をくくっていたところ「OKが出たよ、来週の
木曜日、朝の10時に決めたから。」と、もちろん必死に、馬鹿なことは
やめて欲しいと懇願しても「私のいのち、生も死も私の自由、たとえ娘でも
口出しする権利は無いでしょ。止めようとして帰ってこないで」と、
取り付く島も無い返事。
 結果、前日にお別れパーティを開き、招けなかった人には手紙を投函し、
点滴による薬剤注入をして亡くなられたそうです。

住職日々随想 
 前記のお話の続きになりますが、ジェシーさんはどうして止めきれ
なかったんだろう、何か他に母を思いとどまらせる手立ては無かったのか、
などと散々ご自身を責めたりして、随分苦しまれたそうです。
 我が国でも、安楽死を法的に認めるべきではないのかと、その法制化を
求める声もありますが、一度認めてしまうと、そのハードルはどんどん
下がったり、安楽死を装った犯罪を生む可能性も否定しきれないなど、
さまざま問題があります。
 実際スイスでは、年端もいかない子どもや、鬱に悩む人などに、比較的
安易に認められてしまう、ということも起こっているそうです。
 以前読んだ、自死遺族の方の手記に「自死は本人にとっては一つの解決
方法なのかも知れないけれど、残された遺族にとっては、とんでもない
暴力を受けたようなものなのです。」と激白しておられた事などが思い合わ
されるのですが、私のこのいのちは本当に私のもの、と言い切れるので
しょうか?
 四年ほど前、実際スイスに渡航し安楽死された女性の姿を追った
「彼女は死を選んだ」というドキュメンタリー番組が放映されたそうですが
、ジェシーさんが喫茶店で休憩しているとき、年配のご婦人方が入って
こられて「夕べのあれ見た?」
「見た見た。すごいねぇ、スイスはいいねぇ」などと話しておられ、黙って
おれなくなった彼女が「どうして安楽死がいいの?」と問いかけると、
「そら、子供らに迷惑かけたないし、自分の財産も思うように使い切れるから、
ええやん」などと答えられたそうで、それに対して「じゃあ赤ちゃんはどう、
自分では何にも出来ないけど、それは迷惑じゃないの?」などとしばらく
議論されたそうです。
 私もしばしば耳にしながらいつも違和感を感じているのですが、多くの方が
子供らに迷惑をかけちゃいけないと仰いますし、あえてかける必要も無いとは
思うのですが、此の世に誰にも迷惑をかけずに生きている者など、本当にいる
のでしょうか?
 現在地球上の全生物の、二十五パーセントが絶滅の危機に瀕していると
言われ、その主な原因は人間の産業活動によると言われています。
他の生物にとって人間ほど迷惑な存在はありません。
 また私たちの生活のために、どれほどの方々の手を煩わせているでしょう。
それこそ頭の先からつま先まで、自身で造ったものなどあるのでしょうか?
 迷惑かけずには一日も生きられず、確かな関係を結ぶことなど出来ない、
その身の事実に頭が下がるとき、世界にいだかれている事実にも思い至る
のでしょう。まさにいのちは言葉を超えた真実の世界、如(にょ)より来生
(らいしょう)した賜り物、私物化など許されないものと知らされます。 

 坊守便り 
ー生野区再発見 SDGsまち歩きー  
 生野区街づくり課企画の、まち歩きに参加させて頂きました。今回は生野
銀座商店街で集合し、近辺にある生野八坂神社からのスタートです。
 ここは一度、天王寺区の神社に合祀され廃されたのを、氏子の努力により、
復興されたという経緯があったそうです。
 この地域の生野小学校の児童数は、当時4400人在り、日本一の大規模校
でもあったそうです。
今では少子化から廃校になり、跡地にはインターナショナル校が出来る
ようです。
 生野区には、当時多くの人が集まり、活気にあふれていた事を知る一方
、時代の大きな変遷を知りました。
 鶴橋駅界隈では、乗降客が半減していましたが、最近のコリアタウン人気で
、取り戻したようです。
 今回十五年に一度の法要をお勤めし、安泉寺も古い歴史ある境内を大切に
しつつ、新しい試みを取り入れてゆきたいと思うことです。
若院の企画で大晦日の当日にコンサートを行い、若い画家さんの作品展示も
する事になっています。若い方々が関心を持って下されば嬉しい事です。

一月の行事

12日(木)午前10時半~ピラティス

21日(土)午後2時~ 修正会(新年ご挨拶)
   *コロナ禍でございますので会食等は行いません。

26日(木)午前10時半~ピラティス

二月の行寺

9 日(木)午前10時半~ピラティス

16日(木)午前10時半~ピラティス

18日(土)午後 5時~ 安泉寺地域懇親会
            会費 1.000円
25日(土)午後 3時~ 
         第五組慶讃法要テーマ聞法会
             ご講師 髙島洸陽師
*感染予防には十分配慮し、各行事を行いますが、感染がさらに
拡大した場合、変更もしくは中止する場合がございます。
真宗大谷派 鶴栖山 安泉寺

お問い合わせ

お電話またはwebからご予約承っております。