2023.02.27ブログ
法悦 3月
法 悦 3月号 870号
ー真実の心 なむあみだぶつの歴史の詩(うた)ー
ある時、ひとりの人間が地上に誕生しました。大きな「いのち」の海から、
ひと、として生まれてきたその人は、自分を世に出した「いのち」の源を
たずねて、終わりのない歩みをはじめました。
やがて、その人の歩みは伝説となり、人々の間で心から心へと語りつがれて
いきました。
その伝説には、忘れていたことを思いださせる不思議な力があるのです。
どうやらそれは、その人の願いが声となり、言葉となり、世の光となって、
今でも、どこかで響いているからだと思われます。
その願いに出会った人はみんな、ありのままに生と死を見つめそれぞれに
「いのち」の花を咲かせ、生き生きとしていけるのです。
『正信偈』にはそんなことがうたわれています。
この詩(うた)は、はじめの方で、一人のひとが永遠の寿(いのち)と光を
もって、阿弥陀仏となるまでのいきさつが語られています。
それは二五〇〇年前、インドに生まれた釈尊(シャカムニ・ゴータマ・
ブッダ)によって説かれた『永遠のいのちの物語』というお経の話です。
青色青光
上記の文章は子ども達に仏さまのことば
を知ってもらいたい、親鸞様の「正信偈」の
意味を知ってもらいたいと、何年もの歳月を費やし東本願寺児童教化連盟の
仲間達で作成した『いのち』というテキストに、「正信偈」偈前の文として
戸次公正師が寄せられたもので、お釈迦さまのお説きになった、法蔵菩薩の
求道遍歴から説き起こされる仏説無量寿経を「永遠のいのちの物語」
と受け止め、表現しておられます。
およそ私たちの誰もが、物事を深く理解し、心に刻もうとする時、
その事柄が物語とまでなって、初めて腑に落ちるのではないでしょうか。
世界中に見られる神話や民話などの多くが、そのような成り立ちを
持っています。
分けても、それが意味深く、受け止めた人々の人生に大きな影響を与えうる
ものであればあるほど、国を超え民族の違いも超えて、人から人へ手渡され、
永く伝えられていくのです。
物語を単なる物語としてではなく、その物語の中に自身を見いだし、より
深く受け止め、自身紡いでいく語り手となって、歩みを共にしていく、そこに
物語は、一方的に聞くだけの「ストーリー」を超えた「真実」であると深く
頷かされ、生きる拠り所ともなるのです。
住職日々随想
先に記したように私たちは自身の人生を含め、物語として受け止めて初めて
腑に落ち、得心するものなのです。
例えば臨終の時、今までの自身の越し方が、走馬灯のように思い出されると
言われます。実際のところそれが事実なのかどうなのかは亡くなっていく
本人にしかわからない事なのかもしれませんが…
しかし様々な経典や論釈を紐解き、地獄極楽の相をまるで見てきたかの
ように克明に著された源信僧都の『往生要集』には、以下のように説かれて
います。
地獄に落ちると亡者は皆、閻魔様の前に引き出されます。
閻魔様のすぐ横には浄玻璃の鏡が有り、亡者が生前犯してきた悪しき行いや、
他を傷つけてきた事柄全てが余す所なく、まるで再現VTRを観るかの
ように映し出されます。
そこで閻魔様は何か裁きを下されるのではなく、亡者自身が写しだされた
罪深い己の姿に、「恐れ入りました」と、深くこうべを垂れて、自ら地獄に
落ちていくそうです。
昔のうたに「火の車作る大工は無けれども、己が作りて己が乗りゆく」と
ありますように、地獄行きの火の車を作るのは、自らの悪業によるもの
なのであって、それに乗って地獄に落ちていくのも、やはり本人に他ならない
というのです。
およそ荒唐無稽な作り話と受け取る向きもあるかもしれません。しかし、
この物語には、単なる物語を超えた真実があることが知らされます。
つまり、たとえ悪事をなして手に入れたものがあったとしても、心の底には
罪の意識が積み重なり、必ずその人を蝕んでいく、その事を表している
とは言えないでしょうか。
ロシアのプーチン大統領は、旧ソビエト連邦時代の、多くの周辺国を従え、
強大な勢力を誇っていた過去を懐かしみ、そこに固執して、ウクライナに
軍事侵攻いたしました。
が、短期に勝利を得ると思っていた予想とは裏腹に、まる一年の時を経ても
尚、膠着状態にあります。
さらに、歓呼の声を持って迎えられるとでも思っていたのかもしれませんが、
力でねじ伏せてきた周辺国が、ソビエト崩壊によって、ようやく手に入れた
自由と独立を手放すはずもなく、思いもよらぬ抵抗にあって苦戦しています。
戦争に反対する人々を弾圧し、虚偽情報を流布させて自国民の敵愾心を
煽っていますが、彼の思い描いた物語に一体どれだけの人がうなづき、
共有しようとするでしょう?真実ならざるものは語り継がれる物語とは
ならないのです。
坊守便り
ー地域懇親会を行いましたー
三年ぶりに旧猪飼野村の町会役員さん、猪飼野保存会の方々、安泉寺総代会
・同朋会・女性会の方々にお集まり頂き、地域懇親会を開催致しました。
十二年前の親鸞聖人七五〇回大遠忌法要を機に、「地域懇親の集い」
を続けさせて頂いておりましたが、コロナ禍の為、休会しておりました。
この度の法要でも皆さん惜しまずご協力下さいました。
保存会会員様はもとより猪飼野村を大切に思う方々です。安泉寺は
この地に四〇〇年の歴史があり、皆さんの思いはありがたことです。
今回は十一月六日の大屋根修復・慶讃法要の記念DVDの上映会を
させて頂きました。
法要当日は会場が四カ所となりましたが、それぞれの持ち場でご協力
頂きました。
そんな当日の模様を記録映像を観ながら、お茶を囲んで振り返りました。
それぞれの場面一つ一つに喜びがあり、笑いがあり、厳かな法要に感嘆し、
と素晴らしい上映会となりました。
このご縁を大切に猪飼野村の古寺として、皆様の心の拠りどころとして、
法灯を守って参りたい事でございます。
三月の行事
9 日(木)午前10時半~ピラティス
12日(日)午後1時~ おみがき清掃ご奉仕
18日(土)午後2時~ 春季彼岸永代経法要
ご講師 伊勢道浄寺 酒井正夫師
23日(木)午前10時半~ピラティス
25日(土)終日 ご本山慶讃法要団体参拝
四月の行事
13日(木)午前10時半~ピラティス
15日(土)午後2時~祥月講・同朋の会聞法会
ご講師 円明寺ご住職 髙島章師
24日(月)午前10時半~ピラティス
*感染予防には十分配慮し、各行事を行いますが、感染がさらに
拡大した場合、変更もしくは中止する場合がございます。
ー真実の心 なむあみだぶつの歴史の詩(うた)ー
ある時、ひとりの人間が地上に誕生しました。大きな「いのち」の海から、
ひと、として生まれてきたその人は、自分を世に出した「いのち」の源を
たずねて、終わりのない歩みをはじめました。
やがて、その人の歩みは伝説となり、人々の間で心から心へと語りつがれて
いきました。
その伝説には、忘れていたことを思いださせる不思議な力があるのです。
どうやらそれは、その人の願いが声となり、言葉となり、世の光となって、
今でも、どこかで響いているからだと思われます。
その願いに出会った人はみんな、ありのままに生と死を見つめそれぞれに
「いのち」の花を咲かせ、生き生きとしていけるのです。
『正信偈』にはそんなことがうたわれています。
この詩(うた)は、はじめの方で、一人のひとが永遠の寿(いのち)と光を
もって、阿弥陀仏となるまでのいきさつが語られています。
それは二五〇〇年前、インドに生まれた釈尊(シャカムニ・ゴータマ・
ブッダ)によって説かれた『永遠のいのちの物語』というお経の話です。
青色青光
上記の文章は子ども達に仏さまのことば
を知ってもらいたい、親鸞様の「正信偈」の
意味を知ってもらいたいと、何年もの歳月を費やし東本願寺児童教化連盟の
仲間達で作成した『いのち』というテキストに、「正信偈」偈前の文として
戸次公正師が寄せられたもので、お釈迦さまのお説きになった、法蔵菩薩の
求道遍歴から説き起こされる仏説無量寿経を「永遠のいのちの物語」
と受け止め、表現しておられます。
およそ私たちの誰もが、物事を深く理解し、心に刻もうとする時、
その事柄が物語とまでなって、初めて腑に落ちるのではないでしょうか。
世界中に見られる神話や民話などの多くが、そのような成り立ちを
持っています。
分けても、それが意味深く、受け止めた人々の人生に大きな影響を与えうる
ものであればあるほど、国を超え民族の違いも超えて、人から人へ手渡され、
永く伝えられていくのです。
物語を単なる物語としてではなく、その物語の中に自身を見いだし、より
深く受け止め、自身紡いでいく語り手となって、歩みを共にしていく、そこに
物語は、一方的に聞くだけの「ストーリー」を超えた「真実」であると深く
頷かされ、生きる拠り所ともなるのです。
住職日々随想
先に記したように私たちは自身の人生を含め、物語として受け止めて初めて
腑に落ち、得心するものなのです。
例えば臨終の時、今までの自身の越し方が、走馬灯のように思い出されると
言われます。実際のところそれが事実なのかどうなのかは亡くなっていく
本人にしかわからない事なのかもしれませんが…
しかし様々な経典や論釈を紐解き、地獄極楽の相をまるで見てきたかの
ように克明に著された源信僧都の『往生要集』には、以下のように説かれて
います。
地獄に落ちると亡者は皆、閻魔様の前に引き出されます。
閻魔様のすぐ横には浄玻璃の鏡が有り、亡者が生前犯してきた悪しき行いや、
他を傷つけてきた事柄全てが余す所なく、まるで再現VTRを観るかの
ように映し出されます。
そこで閻魔様は何か裁きを下されるのではなく、亡者自身が写しだされた
罪深い己の姿に、「恐れ入りました」と、深くこうべを垂れて、自ら地獄に
落ちていくそうです。
昔のうたに「火の車作る大工は無けれども、己が作りて己が乗りゆく」と
ありますように、地獄行きの火の車を作るのは、自らの悪業によるもの
なのであって、それに乗って地獄に落ちていくのも、やはり本人に他ならない
というのです。
およそ荒唐無稽な作り話と受け取る向きもあるかもしれません。しかし、
この物語には、単なる物語を超えた真実があることが知らされます。
つまり、たとえ悪事をなして手に入れたものがあったとしても、心の底には
罪の意識が積み重なり、必ずその人を蝕んでいく、その事を表している
とは言えないでしょうか。
ロシアのプーチン大統領は、旧ソビエト連邦時代の、多くの周辺国を従え、
強大な勢力を誇っていた過去を懐かしみ、そこに固執して、ウクライナに
軍事侵攻いたしました。
が、短期に勝利を得ると思っていた予想とは裏腹に、まる一年の時を経ても
尚、膠着状態にあります。
さらに、歓呼の声を持って迎えられるとでも思っていたのかもしれませんが、
力でねじ伏せてきた周辺国が、ソビエト崩壊によって、ようやく手に入れた
自由と独立を手放すはずもなく、思いもよらぬ抵抗にあって苦戦しています。
戦争に反対する人々を弾圧し、虚偽情報を流布させて自国民の敵愾心を
煽っていますが、彼の思い描いた物語に一体どれだけの人がうなづき、
共有しようとするでしょう?真実ならざるものは語り継がれる物語とは
ならないのです。
坊守便り
ー地域懇親会を行いましたー
三年ぶりに旧猪飼野村の町会役員さん、猪飼野保存会の方々、安泉寺総代会
・同朋会・女性会の方々にお集まり頂き、地域懇親会を開催致しました。
十二年前の親鸞聖人七五〇回大遠忌法要を機に、「地域懇親の集い」
を続けさせて頂いておりましたが、コロナ禍の為、休会しておりました。
この度の法要でも皆さん惜しまずご協力下さいました。
保存会会員様はもとより猪飼野村を大切に思う方々です。安泉寺は
この地に四〇〇年の歴史があり、皆さんの思いはありがたことです。
今回は十一月六日の大屋根修復・慶讃法要の記念DVDの上映会を
させて頂きました。
法要当日は会場が四カ所となりましたが、それぞれの持ち場でご協力
頂きました。
そんな当日の模様を記録映像を観ながら、お茶を囲んで振り返りました。
それぞれの場面一つ一つに喜びがあり、笑いがあり、厳かな法要に感嘆し、
と素晴らしい上映会となりました。
このご縁を大切に猪飼野村の古寺として、皆様の心の拠りどころとして、
法灯を守って参りたい事でございます。
三月の行事
9 日(木)午前10時半~ピラティス
12日(日)午後1時~ おみがき清掃ご奉仕
18日(土)午後2時~ 春季彼岸永代経法要
ご講師 伊勢道浄寺 酒井正夫師
23日(木)午前10時半~ピラティス
25日(土)終日 ご本山慶讃法要団体参拝
四月の行事
13日(木)午前10時半~ピラティス
15日(土)午後2時~祥月講・同朋の会聞法会
ご講師 円明寺ご住職 髙島章師
24日(月)午前10時半~ピラティス
*感染予防には十分配慮し、各行事を行いますが、感染がさらに
拡大した場合、変更もしくは中止する場合がございます。
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