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西新宿 彩旬亭

2023.05.28ブログ

法悦 6月

 法 悦 6月号 873号

 この憲法が

 日本国民に保障する

 基本的人権は、
 
 人類の多年にわたる
 
 自由獲得の努力の成果であつて、
 
 これらの権利は
 
 過去幾多の試錬に堪へ

 現在及び将来の国民に対し

 侵すことのできない

 永久の権利として

 信託されたものである。

        「日本国憲法第97条」

青色青光
 およそ仏教では「知りつつ犯す過ちよりも、知らずに犯した過ちの方が
より罪深い」と、無明の闇の深さを知らず、無自覚に過ちを犯す事を戒め
ています。
 1985年5月8日、欧州の第二次世界大戦終戦記念日に、ドイツの
ヴァイツゼッカー大統領が連邦議会で行った「荒れ野の40年」と題された
演説が、大きな感動を生み、その全文が各国で翻訳出版されました。
 わけても重要な言葉が「過去に目を閉ざす者は、結局のところ現在にも
盲目となる」と、おびただしい犠牲者や、筆舌に尽くしがたい苦難を
強いられた人びとに思いをはせ、心に刻むことの大切さを、そして「若い
人たちにかつて起ったことの責任はありません。しかし、その後の歴史の
なかで、そうした出来事から生じてきたことに対しては責任があります。」
と、歴史に対する無知と無関心が、新たな罪を犯すことにもなりうると
警句を発しています。
 政治学者の中島岳志氏が、立憲と民主との関係について述べておられますが、
民主主義というのは今生きている過半数の人間が賛成すれば通っていくのに
対して、立憲主義、憲法というのは今生きているものだけではなく、先人達が
多くの失敗に学び、今生きている我々を信じて託すもの、言わば主語はむしろ
死者であり、そこに生まれる緊張関係こそが、物事をよりよい方向に導くと
指摘しています。その事が最も的確に表されているのが、この97条なのです。

住職日々随想
私事で恐縮ですが、先日散髪中にマスターとの雑談で「最近、コロナ禍の
影響もあってか、携帯電話で手軽に公営ギャンブルができるようになり、
のめり込んでしまう若者が急増していて、中にはそれだけでは我慢できず、
海外のカジノにまで出かけ、あっという間に何千万もの大金をすってしまう
子もいるんですよ。」と聞かされ、驚嘆すると同時に、地元大阪の先行きに
不安を感じ、暗澹たる気分になりました。
 経済再生の起爆剤になると盛んに喧伝し、カジノの収益を当てにした、
いわゆる統合型リゾート誘致が、大阪湾の人工島「夢洲」で進められています。
 国が許認可権を持つカジノ誘致に、名乗りを上げた自治体は、他にもいくつ
かありましたが、いずれも地元住民の反対などもあって頓挫する中、大阪が
国内のカジノ誘致、一番乗りを果たす形となりました。
 そんな大阪の現状とは裏腹に、誘致計画の白紙撤回に至った自治体の一つに
横浜市がありますが、その反対運動の中心となった人物が、「ハマのドン」
と呼ばれ、自民党の有力幹部や地元財界にも太いパイプを持ち、菅義偉元総理
生みの親とも言われる、横浜港運協会会長の藤木幸夫さんという方です。
氏が記者会見で「港の先輩達、この地で汗を流し血を流し、死んでいった人たち
がいっぱいいる。その方々が何か言いたいのだろうと思う。死んだ親父に横浜の
将来をちゃんとしろよ。博打場はやめろよと言わされているように感じる」と。  
 その藤木さんのお父さんも、地元横浜だけでなく、全国の港運協会にも強い
影響力を持つ方だったそうで、港湾で働く人々の生活安定のために尽力されて
きた中、博打で身を持ち崩し、道を踏み外し不幸になってしまった人々を数多く
見てこられ、その対策に奔走された、その事実が氏の背中を強く押したので
しょう。
 いつ命を狙われても不思議ではない、そんな彼の命がけの反対もあって、
カジノ誘致計画が白紙撤回された後、政治学者の中島岳志氏との対談で、
中島氏が柳田国男の「先祖の話」を紹介され、ちゃんとしたご先祖になる。
死んだ後にも仕事があるという話を受け、「私は死んだ親父や先輩達の思いを
背負ってカジノに反対してきた。けれども、こういうことをやるのは俺で最後
だろうな、と思う時がありました。俺がいなくなったらこういうことを言う
やつはいなくなるだろうな、と寂しく思う時もありました。が、それはおごり
でした。俺で終わりだなんて思うのは生意気だね。まだ先があると言うこと
ですね。これで私は死んだ後も戦えます」と。
 ややもすれば、生きている者の目先の利益や都合だけで、物事を決めて
しまうことは、危うさの影を濃くしてしまいます。死者も主権者として
ご参加いただき、死者と未来の他者との対話を通して歩んでいくことの
大切さを、改めて知らされました。
それはまた、「先に生まれん者は後を導き、後に生まれん者は先を訪え」
という教行信証のお言葉にも通じるものです。    

坊守便り

ー琵琶の弾き語りと 帯結び(花むすび)展示ー
   
5月の同朋会は女性の集いと共催させて頂きました。
初めのご挨拶は、同朋の会の稲垣信夫会長にして頂き、最後は三木ふみこ
女性部長に締めのご挨拶をして頂きました。
役員の皆様には5月ならではの柏餅と、お抹茶の接待をしていただき
ました。
展示には、伝統ある装道礼法着物学院、大阪市内支部講師の皆様に、
9体の花むすびを飾っていただきました。
私が長年携わっている会ですが、高い技術力で華やかな帯結びの展示を
してくださいました。
おかげさまで、大阪で花開いた和装の文化を、皆様にお伝えする事が
出来ました。
その後、猪飼野近くでお生まれになられた、琵琶奏者の野田勝香先生に
お越し頂き、弾き語りをご披露いただきました。
お母様から受け継がれた琵琶を演奏され、ますます円熟を極められて
おられます。
今回は「嫁脅し肉付きの面」という、蓮如上人、吉崎でのご教化の
お話を題材にした伝説を、琵琶の引き語りに仕上げご披露下さいました。
嫁の聞法を邪魔する邪悪な姑が改心し、ご信心に目覚めていかれる物語、
今ひとつは「伽羅の兜」という、大坂夏の陣で散った木村重成と
その妻との、美しくも悲しい物語でした。
すばらしく力強い語りと迫力ある演奏に皆さん喜ばれ、楽しいひとときで
ございました。

六月の行事

1 日(木) 午前10時半~ ピラティス

15日(木) 午前10時半~ ピラティス

17日(土) 午後2時~ 祥月講・同朋の会聞法会
       ご法話 専光寺 前住職 髙島洸陽師

七月の行事


1 日(土) 午後2時~ 祥月講・同朋の会聞法会
 ご法話 武庫川念仏寺住職 土井紀明師

6 日(木) 午前10時半~ ピラティス

20日(木) 午前10時半~ ピラティス

*感染予防には十分配慮し各行事を行いますが、感染が拡大した場合、変更
 
もしくは中止する事ががございます。
真宗大谷派 鶴栖山 安泉寺

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