2023.07.25ブログ
法悦 8月
法 悦 8月号 875号
人間の愚かさとは
何事に対しても
答えを持っている
ということです。
ミラン・クンデラ
ー今年の7月11日、94歳でパリの自宅にて死去。
チェコスロバキアで生まれた氏は、1968年に起きた「プラハの春」を
支持したため、国内で活動できなくなり、1975年にフランスに亡命、
映画にもなった「存在の耐えられない軽さ」などの作品により、
ノーベル文学賞の有力候補にもなり、現代世界の最も偉大な作家の一人
とも賞されていた。ー
青色青光
「あの人は無学な人だ」などと言うことは、人を見下すおごりの表れと
言えます。
が、仏教では「無学」とはむしろ最高の褒め言葉、学ぶべき真理を学び尽く
した悟りの境地を指すものであり、そこに至るまで、全身全霊をあげて深く
深く問い続けてこそ得られるものなのです。
物事の本質に関わる事柄ほど、実は広く多面的に捉え、安易に結論に飛び
つかず、問いを持ち続ける胆力が試されるのではないでしょうか。
そういう営みとは真逆に、めまぐるしく変化し続ける現代社会に於いては、
むしろ短い言葉でずばりと論破し、もの言う人が評価されがちです。
絵本作家の五味太郎氏が、新聞のコラムで「物事の根幹に迫るような質問が
できるのは、10歳位までじゃないかな。大人だってわからない事はいっぱい
ある。ごまかすのではなく、『知らない』と言えるかどうか。『なんで世界
平和は来ないの?』って、ほんとにわからない。
わからないことを共有できれば子供も少しは安心できる。さらに一緒に調べて
みようって言えばより建設的なのかな。」
さらに「素朴な疑問と行動は、自己発見につながる」とも述べておられます。
何事に対しても答えを持ち、そこにしがみつけば、一番大切な自身をも
見失いかねないのです。
住職日々随想
いよいよ子供達が心待ちにしていた、夏休みが始まります。長期休暇で
なければ体験できないような、素敵な思い出をたくさん作って、一回りも
二回りも成長してほしいものです。
そんな長期休暇の楽しみの一つに、毎朝放送されているNHKのラジオ番組
「子ども科学電話相談」があります。
動物や植物、天文や昆虫、水中の生物等々、科学の各分野の第一線で
研究活躍しておられる先生方が、三歳くらいの幼児から中学三年生までの
子ども達の素朴な疑問に、言葉を尽くして懸命に答えておられる様子が
伝わってきて、思わずほほえんでしまいます。
最近聞いて驚いたものに、小学校二年生のお子さんの「リスのしっぽは
一度切れてしまえばもう生えてこないのに、なぜすぐに切れてしまうん
ですか?」という質問でした。
しっぽをつかまれたり、何かにひっ掛かったり、身に大きな危険が迫ると、
リスはしっぽを残して逃げることがあるそうで、攻撃する手段を持たない
小動物の必死の行動なのだそうです。
そのしっぽは、枝から枝へ飛び移ったりする時バランスを取ったり、
仲間同士のコミュニケーションに利用したり、拡げて雨をしのいだり、
枕や毛布のように利用したりと、失ってしまうとかなり困ったことに
なってしまうそうです。
小さい子どもに質問攻めにされたりすると、ついついうるさがったり、
ごまかしたりしてしまいがちですが、そのようにして過ごしてきて
しまった事が反省させられます。
ひろく仏教徒に親しまれている偈文(げもん)に
「七仏通誡偈(しちぶつつうかいげ)」があります。
曰く、「諸悪莫作(しょあくまくさ)衆善奉行(しゅうぜんぶぎょう)
自浄其意(じじょうごい)是諸佛教(ぜしょぶっきょう)」
…もろもろの悪をなすことなかれ。もろもろの善を奉じ行い、自ら
そのこころを浄くする。これ諸佛の教えなり、と。
この偈文にまつわる、以下の有名な逸話があります。
「長恨歌」を作った中国、唐代の詩人、白居易(白楽天)が杭州の
長官として赴任したとき、毎日松の木の上で坐禅をしているという、
高名な道林禅師を訪ねました。
禅師に「あなたは何故そのような危ういところで座禅している
のですか?」と問うと、「あなたの方がよほど危うい、煩悩の火が
燃え上がっていて、どうして危険がないと言えるのか」と、
その答えにうなずいた白居易が重ねて「仏教とは何ですか?」と問うと、
禅師は先に記した「七仏通誡偈」をもって答えました。それに対して
「そんなことは子どもでもわかる、私が知りたいのは仏教の極意です。」
と不満を口にすると「三歳の童、これを解すれど、八十の翁、これ行う
こと難し。」と。
頭の中でわかったこととして、深く問うことをせずに目をそらして
いる。そこに真実の自己に出会う縁すらも失ってしまいかねず、人生を
むなしく過ごしてしまう。
まさに、それこそが人生の危機なのです。
坊守便り
ー鶴橋小学校6年生と街歩きー
安泉寺には、江戸時代から寺子屋として、村の子供達の教育に
携わった歴史があり、地元の鶴橋小学校の社会科授業で、先生が
子ども達とよく訪れて下さいました。
修復された本堂大屋根の新しい瓦にも、6年生の子ども達に
名前を書いて頂きました。
今回は歴史ボランティアのサポートとして、生野区役所・
御勝山古墳・つるのはし遺跡・安泉寺・御幸森神社、最後に弥栄神社、
と付き添わせて頂きました。
区役所の辺りは、明治初年の頃、広大な府立農業学校があり、
畜産の研究も盛んになされていたようで、この南の地域には、養鶏場も
多くあったようです。
御勝山古墳は、大阪夏の陣で徳川方が陣を敷いたということです。
そして安泉寺のある旧猪飼野には、江戸時代の逸話が多くがあり、
さらには日本書紀の頃の歴史もたどりました。
子供達はメモを取り、熱心に聞いていました。
あと少しで卒業し、巣立っていく6年生と共に、安泉寺境内で
休憩して、さわやかな一日となりました。
八月の行事
3 日(木) 午前10時半~ ピラティス
6 日(日) 午後1時~ おみがき・清掃ご奉仕
盂蘭盆会法要
14日(月)午後1時・午後3時・夕方7時半
15日(火)午前10時・午後1時 (計五座)
*詳細につきましては改めてご連絡申し上げます。
24日(木) 午前10時半~ ピラティス
*お盆明け16日より20日まで、当寺よりの月参りは
お休みとさせていただきます。
九月の行事
7 日(木) 午前10時半~ ピラティス
秋季彼岸会永代経法要
16日(土) 午後2時・夕6時
ご講師 阿倍野 即応寺 藤井善隆師
21日(木) 午前10時半~ ピラティス
*感染予防には十分配慮し各行事を 行いますが、感染が
拡大した場合 変更もしくは中止する場合事があます。
ご承知おきくださいませ。
人間の愚かさとは
何事に対しても
答えを持っている
ということです。
ミラン・クンデラ
ー今年の7月11日、94歳でパリの自宅にて死去。
チェコスロバキアで生まれた氏は、1968年に起きた「プラハの春」を
支持したため、国内で活動できなくなり、1975年にフランスに亡命、
映画にもなった「存在の耐えられない軽さ」などの作品により、
ノーベル文学賞の有力候補にもなり、現代世界の最も偉大な作家の一人
とも賞されていた。ー
青色青光
「あの人は無学な人だ」などと言うことは、人を見下すおごりの表れと
言えます。
が、仏教では「無学」とはむしろ最高の褒め言葉、学ぶべき真理を学び尽く
した悟りの境地を指すものであり、そこに至るまで、全身全霊をあげて深く
深く問い続けてこそ得られるものなのです。
物事の本質に関わる事柄ほど、実は広く多面的に捉え、安易に結論に飛び
つかず、問いを持ち続ける胆力が試されるのではないでしょうか。
そういう営みとは真逆に、めまぐるしく変化し続ける現代社会に於いては、
むしろ短い言葉でずばりと論破し、もの言う人が評価されがちです。
絵本作家の五味太郎氏が、新聞のコラムで「物事の根幹に迫るような質問が
できるのは、10歳位までじゃないかな。大人だってわからない事はいっぱい
ある。ごまかすのではなく、『知らない』と言えるかどうか。『なんで世界
平和は来ないの?』って、ほんとにわからない。
わからないことを共有できれば子供も少しは安心できる。さらに一緒に調べて
みようって言えばより建設的なのかな。」
さらに「素朴な疑問と行動は、自己発見につながる」とも述べておられます。
何事に対しても答えを持ち、そこにしがみつけば、一番大切な自身をも
見失いかねないのです。
住職日々随想
いよいよ子供達が心待ちにしていた、夏休みが始まります。長期休暇で
なければ体験できないような、素敵な思い出をたくさん作って、一回りも
二回りも成長してほしいものです。
そんな長期休暇の楽しみの一つに、毎朝放送されているNHKのラジオ番組
「子ども科学電話相談」があります。
動物や植物、天文や昆虫、水中の生物等々、科学の各分野の第一線で
研究活躍しておられる先生方が、三歳くらいの幼児から中学三年生までの
子ども達の素朴な疑問に、言葉を尽くして懸命に答えておられる様子が
伝わってきて、思わずほほえんでしまいます。
最近聞いて驚いたものに、小学校二年生のお子さんの「リスのしっぽは
一度切れてしまえばもう生えてこないのに、なぜすぐに切れてしまうん
ですか?」という質問でした。
しっぽをつかまれたり、何かにひっ掛かったり、身に大きな危険が迫ると、
リスはしっぽを残して逃げることがあるそうで、攻撃する手段を持たない
小動物の必死の行動なのだそうです。
そのしっぽは、枝から枝へ飛び移ったりする時バランスを取ったり、
仲間同士のコミュニケーションに利用したり、拡げて雨をしのいだり、
枕や毛布のように利用したりと、失ってしまうとかなり困ったことに
なってしまうそうです。
小さい子どもに質問攻めにされたりすると、ついついうるさがったり、
ごまかしたりしてしまいがちですが、そのようにして過ごしてきて
しまった事が反省させられます。
ひろく仏教徒に親しまれている偈文(げもん)に
「七仏通誡偈(しちぶつつうかいげ)」があります。
曰く、「諸悪莫作(しょあくまくさ)衆善奉行(しゅうぜんぶぎょう)
自浄其意(じじょうごい)是諸佛教(ぜしょぶっきょう)」
…もろもろの悪をなすことなかれ。もろもろの善を奉じ行い、自ら
そのこころを浄くする。これ諸佛の教えなり、と。
この偈文にまつわる、以下の有名な逸話があります。
「長恨歌」を作った中国、唐代の詩人、白居易(白楽天)が杭州の
長官として赴任したとき、毎日松の木の上で坐禅をしているという、
高名な道林禅師を訪ねました。
禅師に「あなたは何故そのような危ういところで座禅している
のですか?」と問うと、「あなたの方がよほど危うい、煩悩の火が
燃え上がっていて、どうして危険がないと言えるのか」と、
その答えにうなずいた白居易が重ねて「仏教とは何ですか?」と問うと、
禅師は先に記した「七仏通誡偈」をもって答えました。それに対して
「そんなことは子どもでもわかる、私が知りたいのは仏教の極意です。」
と不満を口にすると「三歳の童、これを解すれど、八十の翁、これ行う
こと難し。」と。
頭の中でわかったこととして、深く問うことをせずに目をそらして
いる。そこに真実の自己に出会う縁すらも失ってしまいかねず、人生を
むなしく過ごしてしまう。
まさに、それこそが人生の危機なのです。
坊守便り
ー鶴橋小学校6年生と街歩きー
安泉寺には、江戸時代から寺子屋として、村の子供達の教育に
携わった歴史があり、地元の鶴橋小学校の社会科授業で、先生が
子ども達とよく訪れて下さいました。
修復された本堂大屋根の新しい瓦にも、6年生の子ども達に
名前を書いて頂きました。
今回は歴史ボランティアのサポートとして、生野区役所・
御勝山古墳・つるのはし遺跡・安泉寺・御幸森神社、最後に弥栄神社、
と付き添わせて頂きました。
区役所の辺りは、明治初年の頃、広大な府立農業学校があり、
畜産の研究も盛んになされていたようで、この南の地域には、養鶏場も
多くあったようです。
御勝山古墳は、大阪夏の陣で徳川方が陣を敷いたということです。
そして安泉寺のある旧猪飼野には、江戸時代の逸話が多くがあり、
さらには日本書紀の頃の歴史もたどりました。
子供達はメモを取り、熱心に聞いていました。
あと少しで卒業し、巣立っていく6年生と共に、安泉寺境内で
休憩して、さわやかな一日となりました。
八月の行事
3 日(木) 午前10時半~ ピラティス
6 日(日) 午後1時~ おみがき・清掃ご奉仕
盂蘭盆会法要
14日(月)午後1時・午後3時・夕方7時半
15日(火)午前10時・午後1時 (計五座)
*詳細につきましては改めてご連絡申し上げます。
24日(木) 午前10時半~ ピラティス
*お盆明け16日より20日まで、当寺よりの月参りは
お休みとさせていただきます。
九月の行事
7 日(木) 午前10時半~ ピラティス
秋季彼岸会永代経法要
16日(土) 午後2時・夕6時
ご講師 阿倍野 即応寺 藤井善隆師
21日(木) 午前10時半~ ピラティス
*感染予防には十分配慮し各行事を 行いますが、感染が
拡大した場合 変更もしくは中止する場合事があます。
ご承知おきくださいませ。
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