2024.05.29ブログ
法悦 6月
法 悦6月号 885号
十に曰(い)わく、
忿(こころのいかり)を絶ち瞋(おもえりのいかり)を棄(す)てて、
人の違(たが)うことを怒(いか)らざれ。
人皆心有り。
心おのおの執(と)れること有り。
彼是(よみ)すれば我は非(あしみ)す。
我是(よみ)すれば彼は非(あしみ)す。
我必ず聖(ひじり)に非(あら)ず。
彼必ず愚かに非(あら)ず。
共に是(こ)れ凡夫(ただひと)ならくのみ。
是(よ)く非(あ)しき理(ことわり)、誰か能(よ)く定むべけん。
相共に賢(かしこ)く愚かなること、鐶(みみかね)の端(はし)無きが如し。
是(ここ)をもって、彼人(かれひと)瞋(いか)ると雖(いうと)も、
還(かえ)りて我が失(あやま)ちを恐れよ。
我独(ひと)り得たりと雖(いうと)も、
衆(もろもろ)に従いて同じく挙(おこな)え。
聖徳太子 十七条の憲法
青色青光
ウクライナで、パレスチナで、スーダンで、まさに世界各地で紛争や戦火が絶えず、憎しみが新たな悲しみを産み、その悲しみがまた新たな憎しみを産み続けるという、負の連鎖が止まるところを知りません。
いずれの国も自らにこそ大義があると、その正当性を主張して譲りませんし、さらにそこに「神の正義」に従う我々こそ正しいと、宗教的権威を政治的に利用し出すと、問題はより複雑に、より過烈さと残虐性を増していきます。
上記の十七条の憲法は、官僚の守るべき規範として、聖徳太子が仏教精神に基づき制定されたものです。
その第十条に、縁がもよおせば、どんなことをしでかすかも知れない、まさに業縁存在であるわが身の事実に深く頷く、その凡夫としての自覚があって初めて、いたずらに自身の正当性を声高に主張せず、他者の意見にも耳を傾けることが出来るのだと。まことに誰も皆いたらぬ者どうし、なればこそ、互いに敬意をもって、相対すべき事の大切さが説かれています。
今にいたるも、色あせない警句です。
住職日々随想
自身は現にこれ罪悪生死の凡夫
曠劫より已来 常に没し常に流転して
出離の縁あることなし
(善導大師)
最近、北海道選出の与党参議院議員によるパワハラ問題が報道され、世間の耳目を集めました。
各所で威圧的な言動で市役所職員などを罵倒したり、多額の公費を使わせて、たびたび東京まで市の幹部を呼びつけたりと、そのあまりに権力を笠に着た横柄な態度が明るみに出て、釈明に追われるという事でした。
昨今の人権意識の高まりに伴い、かつては、ややもすれば見過ごされてきた「ハラスメント…嫌がらせ」の持つ問題性があらわになり、大きな社会問題として認識されるようになってきました。
ハラスメントとは、他者に不快な思いや苦痛を与える言動や行動を指しますが、具体的には性的な嫌がらせ、いじめ、暴言、身体攻撃、パワーハラスメント等多岐にわたり、職場や学校、公共の場や家庭内等々、様々なところで起こりえます。
そしてハラスメントをする側は、多くの場合、そうと意識もせずに行ってしまいますが、受けた側の心や身体に、深刻な影響をもたらす事例が多数報告されています。
歌手の三波春夫さんが「お客様は神さまです」と、ステージでいつも口にしておられたご挨拶の言葉が、その独特の言い回しと共に広く流布していますが、それは本来ステージを観に来られた観客への、感謝と敬意を表すために、謙譲の表現をもって仰ったものです。
それがいつの間にか、物やサービスを提供する側と、対価を支払う顧客との「上下関係」のように曲解されて、広まってしまったところから、いわゆるカスタマーハラスメントが生じる一因となってしまいました。
ことわざに「実るほど頭を垂れる稲穂かな」とありますが、自信のない人ほど上目に見た者にへつらい、下目に見た者に居丈高になります。それは自身に対する信を見失っている証左です。他人事ではありません。
親鸞聖人は善導大師のお言葉によって、わが身が現に救われようのない罪悪生死の凡夫、であるが故に、阿弥陀如来のご本願が我ら一切衆生に注がれてあると、自身を深く信ずる根拠と信知されました。
真宗入門 「お内仏の安置」
問い 新築を建てました。
実家には仏壇がありますが、新しい
家にも仏壇は必要なのでしょうか?
答え 浄土真宗の門徒は、ご本尊・阿弥陀如来を安置した仏壇を「お内仏」と呼び習わして来ました。
ご本尊・阿弥陀如来は、私達を救おうとする色も形もない真実の『はたらき』であり、それが形として表現されたものです。そのような『おはたらき』をお内仏を通して、いただいてきたのが真宗門徒の伝統です。
お内仏を安置すると言うことは『私たちの人生にとって、本当に大切にしなければならない尊い事は何なのか』と、いつも問いかけて下さる場を賜るということなのです。
お内仏は、「一人暮らしだから必要ない」とか、「田舎の本家にあるから新しい家には必要ない」とか、人が亡くなり、お葬式や年期法要を勤めなくてはならなくなった時に、購入するものだと思われている方がいます。しかし、お内仏は一人ひとりの心の依り所となる大切なものです。お住まいにはぜひお内仏を安置してください。
法語の味わい ー法語カレンダー6月号よりー
ダンゴ虫には 日傘なんだ
雑草と 決めつけていたが
日本植物学の父と言われた、牧野富太郎博士は、「世の中に雑草という草はない。どんな草にだって、ちゃんと名前がついている。」と言っておられました。
私たちはつい雑草などと見下した言葉を平気で使って来ましたがそれは、人間に役に立つか立たないか、必要かもういらないかでいのちと計ってきました。
庭の草たちは、精一杯いのちを告げています。
その声に「ごめんね。ごめんね。」とためらいながら草を抜かれる方もあるのですよと聞き、頭が下がりました。
阿弥陀様の眼には、どうでもいい「いのち」はありません。
一人ひとり、名指しで救いを告げてくださいます。
坊守便りー能登地震被災地を訪ねてー
五月下旬、能登地震被災地で炊き出し支援をするご縁をいただきました。
地震の起こったその時、大阪にいた私は近所のガソリンスタンドにいて、あまり揺れは感じませんでした。
ところが現地では立て続けに三度の強い揺れがあり、多くの建物がくずれました。
当大谷派には能登教区には340ヶ寺の寺院があり、大谷大学の学生のころから、今日まで出遇った多くの友人知人の寺院があります。
今回は、七尾市にある北陸支援ネットの拠点となる寺院で、現地スタッフにご案内とテント設営などのご準備を頂き、黒島町でハヤシライスとたこ焼きを作り、現地の方のお車で近隣の皆様に配達させて頂きました。
黒島町は北前船で栄えた船主の住宅群があり、能登ヒバが家屋の外壁に張り巡らされた、美しい伝統建物保存地区ですが、残念なことに多くの家屋がつぶれてしまいました。
翌日は和倉温泉地区と田鶴地区に伺いました。耐震補強の済んでいない古い寺院は、壁が落ち全体に傾き、途方にくれながらも片付けに奮闘されていました。
わずかですが、直接支援金をお渡ししてきました。細々とでも支援が続けられたらと感じて帰阪しました。
六月の行事
6 日(木)午前10時半~ ピラティス
15日(土)午前9時~12時 大阪教区 同朋大会
20日(木)午前10時半~ ピラティス
* 6月の同朋の会は、教区同朋大会への参加に振り替えます。
参加ご希望の方は安泉寺 06(6731) 4907までご連絡下さい。
七月の行事
4 日(木)午前10時半~ ピラティス
6 日(土)午後2時~ 同朋の会聞法会
「歎異抄に聞く その2」
*「歎異抄」テキストお持ちの方はお忘れなく。
18日(木)午前10時半~ ピラティス
十に曰(い)わく、
忿(こころのいかり)を絶ち瞋(おもえりのいかり)を棄(す)てて、
人の違(たが)うことを怒(いか)らざれ。
人皆心有り。
心おのおの執(と)れること有り。
彼是(よみ)すれば我は非(あしみ)す。
我是(よみ)すれば彼は非(あしみ)す。
我必ず聖(ひじり)に非(あら)ず。
彼必ず愚かに非(あら)ず。
共に是(こ)れ凡夫(ただひと)ならくのみ。
是(よ)く非(あ)しき理(ことわり)、誰か能(よ)く定むべけん。
相共に賢(かしこ)く愚かなること、鐶(みみかね)の端(はし)無きが如し。
是(ここ)をもって、彼人(かれひと)瞋(いか)ると雖(いうと)も、
還(かえ)りて我が失(あやま)ちを恐れよ。
我独(ひと)り得たりと雖(いうと)も、
衆(もろもろ)に従いて同じく挙(おこな)え。
聖徳太子 十七条の憲法
青色青光
ウクライナで、パレスチナで、スーダンで、まさに世界各地で紛争や戦火が絶えず、憎しみが新たな悲しみを産み、その悲しみがまた新たな憎しみを産み続けるという、負の連鎖が止まるところを知りません。
いずれの国も自らにこそ大義があると、その正当性を主張して譲りませんし、さらにそこに「神の正義」に従う我々こそ正しいと、宗教的権威を政治的に利用し出すと、問題はより複雑に、より過烈さと残虐性を増していきます。
上記の十七条の憲法は、官僚の守るべき規範として、聖徳太子が仏教精神に基づき制定されたものです。
その第十条に、縁がもよおせば、どんなことをしでかすかも知れない、まさに業縁存在であるわが身の事実に深く頷く、その凡夫としての自覚があって初めて、いたずらに自身の正当性を声高に主張せず、他者の意見にも耳を傾けることが出来るのだと。まことに誰も皆いたらぬ者どうし、なればこそ、互いに敬意をもって、相対すべき事の大切さが説かれています。
今にいたるも、色あせない警句です。
住職日々随想
自身は現にこれ罪悪生死の凡夫
曠劫より已来 常に没し常に流転して
出離の縁あることなし
(善導大師)
最近、北海道選出の与党参議院議員によるパワハラ問題が報道され、世間の耳目を集めました。
各所で威圧的な言動で市役所職員などを罵倒したり、多額の公費を使わせて、たびたび東京まで市の幹部を呼びつけたりと、そのあまりに権力を笠に着た横柄な態度が明るみに出て、釈明に追われるという事でした。
昨今の人権意識の高まりに伴い、かつては、ややもすれば見過ごされてきた「ハラスメント…嫌がらせ」の持つ問題性があらわになり、大きな社会問題として認識されるようになってきました。
ハラスメントとは、他者に不快な思いや苦痛を与える言動や行動を指しますが、具体的には性的な嫌がらせ、いじめ、暴言、身体攻撃、パワーハラスメント等多岐にわたり、職場や学校、公共の場や家庭内等々、様々なところで起こりえます。
そしてハラスメントをする側は、多くの場合、そうと意識もせずに行ってしまいますが、受けた側の心や身体に、深刻な影響をもたらす事例が多数報告されています。
歌手の三波春夫さんが「お客様は神さまです」と、ステージでいつも口にしておられたご挨拶の言葉が、その独特の言い回しと共に広く流布していますが、それは本来ステージを観に来られた観客への、感謝と敬意を表すために、謙譲の表現をもって仰ったものです。
それがいつの間にか、物やサービスを提供する側と、対価を支払う顧客との「上下関係」のように曲解されて、広まってしまったところから、いわゆるカスタマーハラスメントが生じる一因となってしまいました。
ことわざに「実るほど頭を垂れる稲穂かな」とありますが、自信のない人ほど上目に見た者にへつらい、下目に見た者に居丈高になります。それは自身に対する信を見失っている証左です。他人事ではありません。
親鸞聖人は善導大師のお言葉によって、わが身が現に救われようのない罪悪生死の凡夫、であるが故に、阿弥陀如来のご本願が我ら一切衆生に注がれてあると、自身を深く信ずる根拠と信知されました。
真宗入門 「お内仏の安置」
問い 新築を建てました。
実家には仏壇がありますが、新しい
家にも仏壇は必要なのでしょうか?
答え 浄土真宗の門徒は、ご本尊・阿弥陀如来を安置した仏壇を「お内仏」と呼び習わして来ました。
ご本尊・阿弥陀如来は、私達を救おうとする色も形もない真実の『はたらき』であり、それが形として表現されたものです。そのような『おはたらき』をお内仏を通して、いただいてきたのが真宗門徒の伝統です。
お内仏を安置すると言うことは『私たちの人生にとって、本当に大切にしなければならない尊い事は何なのか』と、いつも問いかけて下さる場を賜るということなのです。
お内仏は、「一人暮らしだから必要ない」とか、「田舎の本家にあるから新しい家には必要ない」とか、人が亡くなり、お葬式や年期法要を勤めなくてはならなくなった時に、購入するものだと思われている方がいます。しかし、お内仏は一人ひとりの心の依り所となる大切なものです。お住まいにはぜひお内仏を安置してください。
法語の味わい ー法語カレンダー6月号よりー
ダンゴ虫には 日傘なんだ
雑草と 決めつけていたが
日本植物学の父と言われた、牧野富太郎博士は、「世の中に雑草という草はない。どんな草にだって、ちゃんと名前がついている。」と言っておられました。
私たちはつい雑草などと見下した言葉を平気で使って来ましたがそれは、人間に役に立つか立たないか、必要かもういらないかでいのちと計ってきました。
庭の草たちは、精一杯いのちを告げています。
その声に「ごめんね。ごめんね。」とためらいながら草を抜かれる方もあるのですよと聞き、頭が下がりました。
阿弥陀様の眼には、どうでもいい「いのち」はありません。
一人ひとり、名指しで救いを告げてくださいます。
坊守便りー能登地震被災地を訪ねてー
五月下旬、能登地震被災地で炊き出し支援をするご縁をいただきました。
地震の起こったその時、大阪にいた私は近所のガソリンスタンドにいて、あまり揺れは感じませんでした。
ところが現地では立て続けに三度の強い揺れがあり、多くの建物がくずれました。
当大谷派には能登教区には340ヶ寺の寺院があり、大谷大学の学生のころから、今日まで出遇った多くの友人知人の寺院があります。
今回は、七尾市にある北陸支援ネットの拠点となる寺院で、現地スタッフにご案内とテント設営などのご準備を頂き、黒島町でハヤシライスとたこ焼きを作り、現地の方のお車で近隣の皆様に配達させて頂きました。
黒島町は北前船で栄えた船主の住宅群があり、能登ヒバが家屋の外壁に張り巡らされた、美しい伝統建物保存地区ですが、残念なことに多くの家屋がつぶれてしまいました。
翌日は和倉温泉地区と田鶴地区に伺いました。耐震補強の済んでいない古い寺院は、壁が落ち全体に傾き、途方にくれながらも片付けに奮闘されていました。
わずかですが、直接支援金をお渡ししてきました。細々とでも支援が続けられたらと感じて帰阪しました。
六月の行事
6 日(木)午前10時半~ ピラティス
15日(土)午前9時~12時 大阪教区 同朋大会
20日(木)午前10時半~ ピラティス
* 6月の同朋の会は、教区同朋大会への参加に振り替えます。
参加ご希望の方は安泉寺 06(6731) 4907までご連絡下さい。
七月の行事
4 日(木)午前10時半~ ピラティス
6 日(土)午後2時~ 同朋の会聞法会
「歎異抄に聞く その2」
*「歎異抄」テキストお持ちの方はお忘れなく。
18日(木)午前10時半~ ピラティス
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