2024.11.30ブログ
2024年12月
法 悦12月号 891号
うそとほんと 谷川俊太郎
うそはほんとによく似てる
ほんとはうそによく似てる
うそとほんとは双生児
うそはほんととよくまざる
ほんとはうそとよくまざる
うそとほんとは化合物
うその中にうそを探すな
ほんとの中にうそを探せ
ほんとの中にほんとを探すな
うその中にほんとを探せ
青色青光
歌手の中島みゆきさんはデビュー前、自身の詩と歌に絶対の自信を持って
いましたが、谷川俊太郎さんの詩を読んだ瞬間に、ガーンと「やられた」
と思い、そのショックから長い間、正式デビューできずにいたそうです。
多くの人は一番言いたいことは言えず、何番目かに言いたいことを
やっとなんとか表現する、そんな弱さを持っています。
だからこそ、その言葉にならない胸底の思いを表現し続けている彼らの
詩や歌に共感し、その思いを託すのでしょう。
一方、今日SNSなどの発達により、誰もが言葉を容易に発信することが
できるようになりました。
しかし、多くの場合匿名で発せられるこれらの情報は、虚実様々に入り
乱れています。
またそれに触れた人が深い洞察に基づかず、感情に駆動され、ほとんど
脊髄反射的に、時に乱暴な言葉を交えて反応してしまい、大きな混乱を
社会にもたらす、そのようなことも頻発するようになりました。
上記は谷川修太郎さんの代表的な詩のひとつですが、平易なことばの中に、
虚実を見極める大切な視点が含まれていることには驚嘆させられます。
そこには仏教の「如実知見」の視座にも相通じるものが有るのです。
住職日々随想
仏教では、身口意の三業によって生ずる根源的な悪を十悪と言います。
曰く殺生、偸盗(ちゅうとう)、邪淫、妄語、綺語(きご)、悪口
(あっく)、両舌、貪欲(とんよく)、瞋恚(しんに)、愚癡(ぐち)
または邪見です。
口は災いの元と申しますが、十悪の内、口に関する悪が四つもあげられ
戒められているのは、口にする言葉によほどの慎重さが求められる
からに他なりません。
今日SNSやユーチューブなどの動画共有サイト等、情報ツールの急速な
発達普及により、新聞やラジオ、テレビなどのマスメディアに依らずに、
誰もが即座に匿名でも、世界中に動画や意見を発信することが可能となり、
また誰もがその情報を受け取ることができるようになりました。
しかしその一方、誤った情報や意図的に流されるデマなどが、場合に
よっては世界中を混乱させかねないような、危険性もはらんでいることが
明らかになり、社会問題化してきました。
「デマは真実の二十倍の速さで伝播する」と、十年間ツイッターの追跡調査を
行った、マサチューセッツ工科大学の研究チームが明らかにしています。
わけても特に深刻な問題は、一度触れた情報に類似の投稿が、アルゴリズム
という情報処理技術により、繰り返し表示され、場合によっては偏った意見
などに、洗脳状態にされてしまうことがあるということです。
さらに恐ろしいことに、それが誤った情報であったとしても繰り返し繰り返し
触れれば、人はそれを真実だと誤認してしまうという性向があることです。
それはナチスの利用した手法にも相通じるものなのです。
まさにSNSなどは、場合によっては強大な兵器並みの破壊力をもって、
社会を崩壊させる力を備えているとも言えましょう。
そしてデマによって引き起こされた感情は、激しければ激しいほど、情報が
誤りであると知らされても、容易に変えることが出来ません。
だからこそデマや誤った情報は、一刻も早く修正しなければならないのです。
親鸞聖人は「親鸞も偏頗(へんぱ…偏った意見)あるものと聞きそうら
えば…」と自身の凡夫性を表白しておられますように、我に正義有りと固執
することは、いかに正しくても間違いであると示しておられます。
また、善導大師は観経疏に「経教(きょうきょう)はこれを喩(たと)
うるに、鏡のごとし。」と、内心に仏のみ教えを鏡として持ち、常に自己を
省みることを勧めておられるのです。
真宗入門「お勤め・正信偈」
正信偈は正式には「正信念仏偈」と言い親鸞聖人が長い年月をかけて書かれた
主著「教行信証」の「行巻」の終わりに記されています。
親鸞聖人が深い感動をもって受け取られたお念仏のみ教えを、親しみやすい
かたちで書き記された『偈』(うた)で、七文字を一句とし、百二十句、
六十行からなっています。
正信偈に書かれている内容は大きく二つあります。前半は、お釈迦様の
説かれた「仏説無量寿軽」(大経)のみ教えに出遇ったよろこびが書かれ、
後半は、その教えを正しく受け止め伝えられた、七高僧(インド、中国、
日本の七人の僧侶)の教えと、その教えに出遇った感動の言葉が書かれて
います。
親鸞聖人がいただかれたお念仏のみ教えと、その歴史を受け止め、その
感銘をうたっているのがまさに「正信偈」なのです。
真宗門徒の朝夕のお勤めとして、「正信偈」をあげることが定着したのは、
今からおよそ500年前の蓮如上人の時代となります。
蓮如上人は、すべてのひとが日常の暮らしの中で、親鸞聖人のお言葉に
親しみ、真実のみ教えに出遇う事を願われ、それまでのお勤めを『正信偈』
『和讃』のお勤めに変更し、日々の礼拝・勤行と定められました。
法語の味わい
ー法語カレンダー12月号よりー
一筋縄でいかないのは
他人ではなく私でした
「一筋縄でいかない」とは、普通のやり方では思うようには出来ない、
うまく処理出来ないという意味です。
難しい仕事や手強い相手など、それまでのやり方や普通の対応ではうまく
いかない事に出会った時に、私達は目の前の難題を解決するのに四苦八苦
します。
難しい問題?でも見方を変えると、難しく考えすぎていたのは、他人では
なく私なのかもしれません。
凡夫の我執のまなこではなく、阿弥陀様は平等の慈悲心をもって、常に
大きなまなざしで見ていて下さいます。
坊守便り
ー生野エキスポ協賛事業報告会ー
9月10月と、エキスポ協賛事業として、安泉寺を主会場に4講座開催させて
頂きました。
主催者の方から、魅力ある講座が開催出来たので、ぜひ報告会で発表して
欲しいとの依頼があり、区役所6階のホールにて、ご報告させて頂きました。
歴史講座では、明治・大正の猪飼野の歴史を語って頂き、琵琶の弾き語り
では、猪飼野ゆかりの木村重成、大坂夏の陣での最後の物語を演じて
いただきました。
街歩きも2日間で約40名参加され、生野区歴史ボランティアの方の説明を
聞きながら、ゆっくりと歩いて歴史を感じていただきました。
音楽講座では、日頃からライブハウスで演奏されているプロの方々に、
当寺では初めてとなるジャズの演奏をご披露いただきました。
軽快なおしゃべりとともに、誰もが聞き覚えのある曲を演奏していただき、
時の経つのも忘れて、楽しいひとときを過ごさせていただきました。
桃谷界隈にお住まいで、本堂に来られたことのなかった方々もたくさん
来られ、満堂となりました。
また、学生さんなどの若きサックス愛好家の方達に、本堂でセッションを
披露して頂きました。
総じてお寺を開放して、良きご縁を持つ事が出来、有り難いことでした。
十二月の行事
5 日(木) 午前10時半~ ピラティス
8 日(日) 午前8時~ 日帰りバスツアー
神戸「人と防災センター」モダン寺 須磨寺見学「一弦琴の演奏」
15日(日) 午後2時~
おみがき清掃ご奉仕 年末懇話会
31日(火) 夜11時半~ 歳暮勤行・除夜の鐘
一月の行事
26日(日) 正午~ 同朋の会新年会
30日(木) 午前10時半~ ピラティス
*一月は1日より5日まで、お寺よりの
お参りはお休みさせていただきます。
うそとほんと 谷川俊太郎
うそはほんとによく似てる
ほんとはうそによく似てる
うそとほんとは双生児
うそはほんととよくまざる
ほんとはうそとよくまざる
うそとほんとは化合物
うその中にうそを探すな
ほんとの中にうそを探せ
ほんとの中にほんとを探すな
うその中にほんとを探せ
青色青光
歌手の中島みゆきさんはデビュー前、自身の詩と歌に絶対の自信を持って
いましたが、谷川俊太郎さんの詩を読んだ瞬間に、ガーンと「やられた」
と思い、そのショックから長い間、正式デビューできずにいたそうです。
多くの人は一番言いたいことは言えず、何番目かに言いたいことを
やっとなんとか表現する、そんな弱さを持っています。
だからこそ、その言葉にならない胸底の思いを表現し続けている彼らの
詩や歌に共感し、その思いを託すのでしょう。
一方、今日SNSなどの発達により、誰もが言葉を容易に発信することが
できるようになりました。
しかし、多くの場合匿名で発せられるこれらの情報は、虚実様々に入り
乱れています。
またそれに触れた人が深い洞察に基づかず、感情に駆動され、ほとんど
脊髄反射的に、時に乱暴な言葉を交えて反応してしまい、大きな混乱を
社会にもたらす、そのようなことも頻発するようになりました。
上記は谷川修太郎さんの代表的な詩のひとつですが、平易なことばの中に、
虚実を見極める大切な視点が含まれていることには驚嘆させられます。
そこには仏教の「如実知見」の視座にも相通じるものが有るのです。
住職日々随想
仏教では、身口意の三業によって生ずる根源的な悪を十悪と言います。
曰く殺生、偸盗(ちゅうとう)、邪淫、妄語、綺語(きご)、悪口
(あっく)、両舌、貪欲(とんよく)、瞋恚(しんに)、愚癡(ぐち)
または邪見です。
口は災いの元と申しますが、十悪の内、口に関する悪が四つもあげられ
戒められているのは、口にする言葉によほどの慎重さが求められる
からに他なりません。
今日SNSやユーチューブなどの動画共有サイト等、情報ツールの急速な
発達普及により、新聞やラジオ、テレビなどのマスメディアに依らずに、
誰もが即座に匿名でも、世界中に動画や意見を発信することが可能となり、
また誰もがその情報を受け取ることができるようになりました。
しかしその一方、誤った情報や意図的に流されるデマなどが、場合に
よっては世界中を混乱させかねないような、危険性もはらんでいることが
明らかになり、社会問題化してきました。
「デマは真実の二十倍の速さで伝播する」と、十年間ツイッターの追跡調査を
行った、マサチューセッツ工科大学の研究チームが明らかにしています。
わけても特に深刻な問題は、一度触れた情報に類似の投稿が、アルゴリズム
という情報処理技術により、繰り返し表示され、場合によっては偏った意見
などに、洗脳状態にされてしまうことがあるということです。
さらに恐ろしいことに、それが誤った情報であったとしても繰り返し繰り返し
触れれば、人はそれを真実だと誤認してしまうという性向があることです。
それはナチスの利用した手法にも相通じるものなのです。
まさにSNSなどは、場合によっては強大な兵器並みの破壊力をもって、
社会を崩壊させる力を備えているとも言えましょう。
そしてデマによって引き起こされた感情は、激しければ激しいほど、情報が
誤りであると知らされても、容易に変えることが出来ません。
だからこそデマや誤った情報は、一刻も早く修正しなければならないのです。
親鸞聖人は「親鸞も偏頗(へんぱ…偏った意見)あるものと聞きそうら
えば…」と自身の凡夫性を表白しておられますように、我に正義有りと固執
することは、いかに正しくても間違いであると示しておられます。
また、善導大師は観経疏に「経教(きょうきょう)はこれを喩(たと)
うるに、鏡のごとし。」と、内心に仏のみ教えを鏡として持ち、常に自己を
省みることを勧めておられるのです。
真宗入門「お勤め・正信偈」
正信偈は正式には「正信念仏偈」と言い親鸞聖人が長い年月をかけて書かれた
主著「教行信証」の「行巻」の終わりに記されています。
親鸞聖人が深い感動をもって受け取られたお念仏のみ教えを、親しみやすい
かたちで書き記された『偈』(うた)で、七文字を一句とし、百二十句、
六十行からなっています。
正信偈に書かれている内容は大きく二つあります。前半は、お釈迦様の
説かれた「仏説無量寿軽」(大経)のみ教えに出遇ったよろこびが書かれ、
後半は、その教えを正しく受け止め伝えられた、七高僧(インド、中国、
日本の七人の僧侶)の教えと、その教えに出遇った感動の言葉が書かれて
います。
親鸞聖人がいただかれたお念仏のみ教えと、その歴史を受け止め、その
感銘をうたっているのがまさに「正信偈」なのです。
真宗門徒の朝夕のお勤めとして、「正信偈」をあげることが定着したのは、
今からおよそ500年前の蓮如上人の時代となります。
蓮如上人は、すべてのひとが日常の暮らしの中で、親鸞聖人のお言葉に
親しみ、真実のみ教えに出遇う事を願われ、それまでのお勤めを『正信偈』
『和讃』のお勤めに変更し、日々の礼拝・勤行と定められました。
法語の味わい
ー法語カレンダー12月号よりー
一筋縄でいかないのは
他人ではなく私でした
「一筋縄でいかない」とは、普通のやり方では思うようには出来ない、
うまく処理出来ないという意味です。
難しい仕事や手強い相手など、それまでのやり方や普通の対応ではうまく
いかない事に出会った時に、私達は目の前の難題を解決するのに四苦八苦
します。
難しい問題?でも見方を変えると、難しく考えすぎていたのは、他人では
なく私なのかもしれません。
凡夫の我執のまなこではなく、阿弥陀様は平等の慈悲心をもって、常に
大きなまなざしで見ていて下さいます。
坊守便り
ー生野エキスポ協賛事業報告会ー
9月10月と、エキスポ協賛事業として、安泉寺を主会場に4講座開催させて
頂きました。
主催者の方から、魅力ある講座が開催出来たので、ぜひ報告会で発表して
欲しいとの依頼があり、区役所6階のホールにて、ご報告させて頂きました。
歴史講座では、明治・大正の猪飼野の歴史を語って頂き、琵琶の弾き語り
では、猪飼野ゆかりの木村重成、大坂夏の陣での最後の物語を演じて
いただきました。
街歩きも2日間で約40名参加され、生野区歴史ボランティアの方の説明を
聞きながら、ゆっくりと歩いて歴史を感じていただきました。
音楽講座では、日頃からライブハウスで演奏されているプロの方々に、
当寺では初めてとなるジャズの演奏をご披露いただきました。
軽快なおしゃべりとともに、誰もが聞き覚えのある曲を演奏していただき、
時の経つのも忘れて、楽しいひとときを過ごさせていただきました。
桃谷界隈にお住まいで、本堂に来られたことのなかった方々もたくさん
来られ、満堂となりました。
また、学生さんなどの若きサックス愛好家の方達に、本堂でセッションを
披露して頂きました。
総じてお寺を開放して、良きご縁を持つ事が出来、有り難いことでした。
十二月の行事
5 日(木) 午前10時半~ ピラティス
8 日(日) 午前8時~ 日帰りバスツアー
神戸「人と防災センター」モダン寺 須磨寺見学「一弦琴の演奏」
15日(日) 午後2時~
おみがき清掃ご奉仕 年末懇話会
31日(火) 夜11時半~ 歳暮勤行・除夜の鐘
一月の行事
26日(日) 正午~ 同朋の会新年会
30日(木) 午前10時半~ ピラティス
*一月は1日より5日まで、お寺よりの
お参りはお休みさせていただきます。
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